1 せせらぎ荘事件

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1 せせらぎ荘事件

f6ae3ac1-3104-4587-8202-e566eff268a0 「先生!先生ってば!なんでいないんですかっ!?」 古ぼけた木造住宅の、雑草が生い茂った庭先。 若い男が玄関ドアを激しく叩いていた。 「もう時間ないって言ってありましたよね?俺は知りませんよ!」 どこからか聞こえる蝉の鳴き声。 男は早々に諦め、むせかえるような緑の匂いを後にした。 「帰るか……」 ぶつぶつ言いながら携帯電話を取り出す。 駅への長い道のりを思い、男は知らずため息をもらした。
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