気持ちに気付く

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3人で行きつけの居酒屋に向かい、いつも通り生ビールを注文して乾杯して一気に飲み干す。 早々に美幸が「唯、なんだか新しい課長にいじめられてるってみんな噂してるよ。大丈夫?」 「いじめられてるってことになってるの?そんなこと全然なくて、今まで矢坂課長に甘えて仕事してたツケが回ってきているのよ。北見課長の言うことは的確だし、尊敬に値するレベルね。私なんかに指導してくれて、本当なら指導料ぐらい払わなきゃ。だから、指導料の代わりに毎朝コーヒーを淹れさせて頂いているのよ。」 良い感じで酔っ払っていた唯は自慢げに朝の時間のことをしゃべりはじめた。 「毎朝コーヒーってどういうことだ?だからここ数週間朝早く来てるのか。北見課長にコーヒーを淹れるためなんて、健気な唯ちゃんだこと。」と順がつっこんできた。 疲れた体に一気にビールが入ってきて気分が良かったので、2人に全て聞いて欲しいと思い話を続ける。 「朝静かで誰もいないときに二人でコーヒーを飲みながら、パソコンのキーボードを打つ音を聞くのが最高にいいのよ。コーヒーを淹れて渡しに行ったときに北見課長が言う、ありがとう、が最高にかっこいいし。北見課長を独り占めできるし、この時間があるから地獄のような時間も耐えられるの。」 「しかも時々、手が触れ合うのよ。課長の手は指が長くてセクシーなんだよね。」 だいぶ酔いが回ってきている唯は一気にまくしたてた。
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