お互い勘違いしていたこと

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課長は二人の前に立ち止まると大きな声で「山本、お前のファスナー全開事件を会社のみんなにばらされたくなかったら、今すぐ俺に着いてこい。」と言って唯の手を引っ張った。 唯と順は課長の行動に唖然としながらも、ファスナー全開事件と唯が同一人物だったと知っていたことに驚いた。 さらに課長は続ける「ファスナー全開事件を会社に言いふらすし、その日の下着の色も俺は覚えている。ばらされたくなかったら早くこっちにこい。」と強引に唯を胸に引き寄せる。 唯は課長に密着した時点で何も考えられなくなり順に 「最初から二人で食事するべきだと思っていたから、私は課長に着いていくね。」と言い残して課長に抱きかかえられるように店を後にした。 強引に車の助手席に押し込められ、どこかへ向かって行く。 課長は一言もしゃべらず運転しているので、唯は全く訳が分からない。 「課長、ファスナー全開女だっていつ気付いたんですか。下着の色なんか見えてなかったですよね。適当なこと言わないでください。今日は順の勝負の日だったのに。」と抗議するものの、課長は何にもしゃべらない。 唯は負けじと課長に話かけるものの、全く課長がしゃべるつもりがなさそうだったので諦めて外を眺めていた。
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