お互い勘違いしていたこと

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「俺と香が付き合ってるって俺の兄貴が聞いたら、俺は絞め殺されそうだな。」と笑いすぎて出てきた涙を拭きながら課長がつぶやく。 「えっと、どういうことですか?」唯は状況が分からず、再び課長に問いかけた。 「香は俺の兄貴と付き合ってて、来年結婚するんだよ。俺は海外から帰ってきたばかりだから兄貴の家に居候させてもらってて、先月家を出たんだよ。香が兄貴に会いに行くときは、時々会社から一緒に帰ったり、飲んだ後は迎えに来てもらってたんだよ。まさか誤解されてるとは夢にも思わなかった。」 「おまけに香とは昔から知ってる仲だし、兄貴のことが大好きすぎたから付き合うことは天地がひっくり返ってもない。」と唯の頭を撫でながら話をしてくれた。 「昔から仲が良かったから、下の名前で呼び合っていたんですね。おまけにお兄様と結婚するなんて。会社のみんなも課長と香さんが付き合っていると思っていますよ。」 「お前は俺が香と付き合っていると勘違いしていたし、俺は高岡とお前が付き合ってしまうかと思っていた。状況から勝手に想像するんじゃなくて、最初からきちんと話をすればよかったな。」と言うと、息を吸い込んで
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