初恋の君…、俺のリベンジ物語

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 数日後の早朝。学校に登校する。 「シクシク・・・・・・」赤いランドセルを背負った女の子が道端でしゃがみながら泣いている。 「どうしたの?」俺は彼女と目線を合わせるように膝をたたみその場に少女と同じようにしゃがんだ。 「ヒック、ヒック、ヒロ君が・・・・・・、ヒロ君が私をブスだっていじめるの・・・・・・」女の子は泣き止まない。ブスだと言っているが女の子は頭に可愛いリボンをしていてとても可愛らしい感じであった。 「酷いな・・・・・・、そんな事を女の子に言うなんて・・・・・・」 「あっ、まだこんなところにいたのか、ブス美、早く来いよ!」角から少年が飛び出して声をかけてきた。どうやらこの少年がヒロらしい。 「うわーん、また言った!!」女の子は更に激しく泣き叫ぶ。 「お、おい」俺は(なだ)めようとするが言葉が見当たらない。 「なんで、泣いてるんだよブス美」少年は近づいてきてまた言う。 「お前な、女の子にそれはないだろう。きちんと名前で呼んであげろよ」俺は少年に(さと)すように言う。 「なんだよ、兄ちゃん関係ないだろう!ブス美はブスだからブス美なんだよ!!」少年は腕組みをしてむきになったような仕草を見せる。 「そんなことないぜ、えーと君の名前はなんて言うんだったかな?」女の子に名前を尋ねる。 「冬美、冬美だよ・・・・・・・」彼女は泣き止まないようであったが何とか自分の名前を告げた。 「冬美ちゃんか、可愛い名前だね」 「本当に?」彼女は少しその悲しそうな瞳を上にあげた。 「本当だよ、君は名前もそうだけど。すごく可愛いよきっと大きくなったら凄い美人になるよ」 「本当に!?」冬美という女の子が花が開くように笑顔に変わる。 「な、なに言っているんだよ!ブス美はブスになるに決まっているだろう!!」ヒロという男の子は更にむきになって大きな声を上げる。その瞬間、冬美がヒロを睨みつけた。 「ヒッ!!!」ヒロは顔をひきつらせた。 「そうか解ったぞ!ヒロ君は冬美ちゃんのこと好きなんだろう?」 「えっ!?」二人は同時に驚いたような声を上げる。 「昔から男っていうのは好きな()を虐めるものだよな」俺は自分達の小さい頃を思い出していた。男子というものは自分の好きという感情をうまく表現することが出来ないのであろうか、好きな女の子の嫌がることをしてしまうようだ。たいていその気持ちは女の子には伝わらず嫌われてしまう事が多い。 「な、なんで俺がブス美の事好きなんだよ!そんなわけないだろ!!」ヒロはむきになって否定する。図星のようである。 「冬美ちゃんは可愛いから、絶対モテるぞ!優しくしてあげないと他の子に取られるぞ!冬美ちゃん、よかったらお兄ちゃんのお嫁さんになるか?」 「えっ・・・・・・」冬美が顔を真っ赤にして満更でもないような顔をする。「うん、いいよ」そんな人生の大切な選択を簡単に決めていいのかと俺は軽く説教をしたかった。 「な、なんなんだよ!そんな、そんな・・・・・・」言いながらヒロは目に涙を溜めている。 「嫌だったら冬美ちゃんに優しくしてあげろよ。素直に自分の気持ちを伝えたほうが自分も相手も誤解なく仲良くできるはずだぞ」俺はヒロの頭を力強く撫でた。そんな子供扱いが嫌だったのかヒロは俺の手を振り払った。 「解ったよ!ふ、冬美!行くぞ!!」ヒロは恥ずかしそうに真っ赤に顔を染めている。 「うん!」冬美はニコリと笑うと軽く俺にお辞儀をして手を振ってからヒロの後を追いかけて行った。 「ふーん、山本君て意外に優しいんだね」振り返るとそこには昌子の姿があった。 「い、いや、そういう訳じゃ・・・・・・」俺は一部始終を見られていたのかと思うと恥ずかしくなる。 「私が好きになっちゃいそう・・・・・・、なんてね」冗談か本気かも解らないような言葉を残して昌子は通学路を歩いて行った。   「えっ」俺は昌子のその後ろ姿をぼーっと眺めていた。
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