初恋の君…、俺のリベンジ物語

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「ねぇねぇ、山本、山本よお」授業の合間の休憩時間に昌子が声をかけてくる。最近呼び捨てにされるようになってきた。「また、遊びにいこうよ。今度は三人でさ!」なんだか生川は不評だったようである。生川はトイレに行ったようだ。 「構わないけど天野はどうなんだ。もしかするとあの野球部の奴と」先日の大井という野球部キャプテンへの返答はどうなったのだろうか。俺はあの日から気になってちょっと勉強が手につかない状況に陥ったいた。 「あ、あれね。恵は断ったみたいよ」その言葉を聞いて少し安堵のため息をつく。「なに、安心した?」昌子が空かさず突っ込んでくる。彼女は人の顔色を読む能力に長けているようである。 「いや、そういう訳ではないけれど……」全部見透かされているようである。俺は出来るだけ気持ちを読まれないように言ったつもりなのだが……。 「まあいいけれど、帰りにお化け屋敷行かない?今、ホラー映画の公開記念で映画館の建物の地下階で催し物やってるみたいなんだ。なんか面白そうじゃない?」昌子が同意を求めてくる。正直云うとお化け屋敷など小学生の時以来行った事などなかった。 「ああ、俺は構わないけれど……」言いながら恵の様子を伺う。彼女は素知らぬ顔で前を見つめている。 「山本よお。あんた解りやすいねぇ。恵は私が後で誘うから任せておいてよ」昌子は任せておけという顔をしている。まるで恵のスケジュールを全て自分が把握しているような口振りであった。しかしなんちゅう呼び方やねん。 「でも、なんでいつも俺を誘ってくれるんだ?他にもいっぱい行きたいって奴がいるだろうに……」そうなのだ。他にも男子はたくさんいるし、それにもまして敢えて男子を誘う意味があるのであろうか。 「なに、私達と一緒は嫌なの?」ちょっとだけ不服そうな顔をする。 「いや、そんな訳ないだろう」そりゃそうだ。彼女達みたいな美人とデート出来るなんて金を出してでも代わりたいという奴は山ほどいるであろう。 「それじゃあ、放課後4時頃に駅の改札で待ち合わせね。遅れて来ては駄目よ」ニコリと笑って首を(かし)げた。 「な、なになんの話?」トイレに行って帰ってきた生川が話に割り込んでくる。 「ううん、ただ雑談していただけよ。それじゃあね」言いながら昌子は片手を上げて恵の席に歩いていった。生川は完全に除外されたようだ。 「篠原の奴、俺を意識してるな。恥ずかしがっちゃて」生川は嬉しそうにニヤリと笑った。コイツの性格が若干羨ましいと思った。
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