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朝、目が覚める。最悪の夢を見た。恵にこっ酷く振られる夢であった。
「そんなことがある訳ない・・・・・・・」そう呟きながら洗面所で顔を洗う。「痛い!?」額に激痛が走る。鏡を見ると一部が赤く腫れているのが解る。
「やっぱり、あれは・・・・・・夢ではなかった。そう思うこんだのは自分で現実逃避しようとしただけなのだった。俺は項垂れたように洗面所の床にへたり込んだ。
「漫画・・・・・・、体操服・・・・・・、縦笛・・・・・・・」改めて小学生の頃の記憶が蘇ってきた。
未熟な少年には好きな少女にどう接すればいいのかを知る由もなくあの頃の俺は、恵の関心を引きたくて彼女を虐める毎日であった。現在の俺であれば、先日あの子供達を諭したように行動することも出来る筈なのであろうが、あのころの俺はそんな思考はなく、とにかく彼女に何かアピールして絡んで欲しいという欲望で頭が一杯であった。それで恵を泣かせる事もあったが、周りにいる友人の手前、彼女に謝ることも無かった。
まさかそれが彼女を登校拒否に追い込んで転校させたなんて思ってもみなかった。なぜだか、彼女が転校したのは彼女の父親の仕事のせいで転校になったという情報はどこから来たのか?学校で虐めがあった事を封印しようとした教師がそのように言ったのか、それは今となってはたしかめようがなかった。
俺は急激に学校に行く気が失せてこれから数日の間、登校拒否となってしまった。
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