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「ただいま~♪」詩織が帰ってきた。
「おかえり」母の声がキッチンのほうから聞こえる。
「お兄ちゃん、今日も学校休んでいるの?」詩織はダイニングテーブルの上にある煎餅を一枚口に咥えた。
「ええ、頭がずっと痛いって言っているけど学校で何かあったのかしらね」包丁で何かを切る音がテンポよく響いている。
「お兄ちゃん、空気読めない処があるから虐められたのかな」制服のまま、ソファーに座り込みテレビのリモコンを押した。
「先に着替えてきなさい」母は振り向かずに言った。詩織の行動を熟知しているようだ。
ピンポーン♪
インターホンの音が鳴る。
「はーい」詩織が通話のボタンを押しながら対応した。モニターに物凄い笑顔とそれに反比例するようにうつ向いた綺麗な女の子が二人写されていた。
「こんにちは、山本直樹くんおいでですか?」笑顔の女の子が声を発した。
「え、ええ、居ますけど……」女っ気が無い兄への来訪に詩織は驚愕した。
「お見舞いに来たんですけど……」
「は、はい、少し待ってください」詩織はあわてて玄関に走っていった。
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