初恋の君…、俺のリベンジ物語

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「天野さんはこの学校のアイドルなんだぜ」生川はそう俺に忠告してくる。  先ほど、俺を取り囲んでいた男子生徒達の中にいた奴だ。どうやら俺の家と帰る方向が同じらしい。生川が言うには昨年の文化祭で学園美人コンテストが行われて、各クラス代表の中で天野がグランプリ賞を獲得したらしい。それからというもの学年を問わずに交際を申し込んでくる男子生徒達がワンサカいるらしい。小学生の時の彼女は飛びぬけて可愛いと言う訳では無くて、ごく普通の女の子であった。ただ、笑った時の彼女の笑顔が最高であった。その彼女が学園美女コンテストのグランプリになったということは、言い方は悪いが成り上がったと云うべきべきであろうか。  正直いうとこの学校の誰よりも先に彼女に目をつけていたのは俺なのだ。俺は彼女が父親の都合で転校して行ってからも彼女の事が忘れられずにいて女の子から交際を求められても全て断ってきた。今の時点で彼女以上の女の子はいないとずっと思ってきたからだ。だから、俺に彼女が出来る事なんてないと思っていた。下手をすれば結婚をすることも無いと・・・・・・・、父さん、母さん、孫の顔を似せてやれなくてごめん。詩織、後は任せたぞ。ずっとそう思ってきた。  ただし俺の前に再び天野恵が現れた。俺の世界はガラリと姿を変えた。俺は彼女との恋にいきる男に生まれ変わるのだ。 「なあ、お前って・・・・・・、気持ち悪い奴なのね」生川が軽蔑するような目で俺の顔を見る。 「げっ、もしかして俺・・・・・・・」 「全部声に出していたぞ。天野は俺の物だって・・・・・・・」いや、そうしたい気持ちは山々ではあったが、そこまではさすがに言っていないであろう。 「まあ、そこまで天野の事が好きなら俺も一肌脱いでやるよ」生川は親指を立ててウインクをした。 「あ、ああ」彼の合図の意味がよく解からなかった。  翌日、学校に行くと教室の中が何やら騒がしいようであった。 「いったい何の騒ぎなんだ」なんだか皆の視線が俺に集中している。生川と目が合うと彼は昨日と同じように親指を立ててウインクをした。それに吊られて俺の力の無い感じて親指を立てた。とその瞬間気がついた。 「まさか……!?」俺が天野の事を好きだと云うことを皆に言ったのか?天野の方を見ると彼女は顔を真っ赤にして震えている。 「ちょ、ちょっと生川!まさかお前!?」俺は生川の胸ぐらを思いっきり掴んだ。 「な、なんだよ!お前が昨日言っていたんじゃないか。天野とは幼なじみでずっと好きだったって!」彼は俺の手を払う。 「それはそうだけど……、こんな晒し者みたいに……」俺達のやり取りを聞いて居場所が無くなったのか、天野は教室を飛び出していった。 「追いかけたほうがいいんじゃないのか?」生川が問いかける。 「お前が言うな!」生川を怒鳴りつけると俺は彼女の後を追いかけた。
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