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03
というのは無理な話なのに。
「じゃあね、かなと」
「ああ、アイツが来るときは俺も行くからな」
「来なくて良いから!!早く帰って!!」
なんとか、部屋の中にまで来ようとするかなとを追い出して帰した。それからすぐに部屋を片付けておく。おそらく部屋の中にまでは入ってこないと思うけれど、部屋の中を見られる可能性はある。
「かなめさん、浅葱です」
こんこん、とノック音が響き、浅葱さんの声が聞こえる。一瞬だけ自分の部屋着がおかしくないかを確認してからドアを開けた。
「こんばんは、浅葱さん。さっきはすみませんでした」
「いえ、大丈夫ですよ」
「それでは、少しラウンジでお話をしませんか?」
「わかりました!!」
慌てて部屋の鍵を取ってきて、施錠し、浅葱さんについて行く。姉弟全員の部屋のある階にはみんなで集まれるようなちょっとしたラウンジがある。人の目がある場所だから二人きりでどうこう言われることもない。
「明日のことですが、かなとくんの護衛より早めに来られないか、と言われまして。ご予定か何かがあるんですか?」
「いえ、私ではなくかなとの方にあるんです。部活があるらしく、側にいられないからと・・・。全く、心配性もほどほどにしてもらいたいものです・・・。これだから友達も一人も出来ないんですよ!?」
「ははは、かなとくんの気持ちも少しは俺も分かりますがね・・・。では少し早めにお迎えに上がるようにしますね」
「あの、それで、ですね・・・。明日、本屋さんと文房具屋さんに行きたいのですが、寄り道していただいてもかまいませんか?」
明日はかなとがいない。帰るときに私一人、ということはちょっと寄り道すれば二人きりのデートになる!!それにちょうど欲しいものがあったし!めんどくさがって買わなかった数週間前の私、ナイス!!
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