第一章 君と僕の出会い

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第一章 君と僕の出会い

 十一月下旬。 今日は珍しく朝から雪が降っていた。 平年ならこの時期はまだ雪は降らないが、今日は珍しく雪が降っている。 それも雪がやむ気配など、全く感じさせないほどに。 朝からずっと僕は異常気象だなと、学校に着いてから窓を見て思っていた。  授業が終わった放課後一人足早に、校舎の屋上へと向かった。 屋上に行く理由。 それは特に大した理由ではないけど、ただ、雪が屋上なら少しばかり積もっているんじゃないかと思い、僕はただ屋上へと向かう。  一番最上階の階段を上り、最後に屋上へと続くドアを見ると、少しだがドアが開いていた。 「誰か屋上にいるのか...」 僕はそう思いながらも、特に気にせず屋上へと続くドアを開けると雪がパラパラ今もまだ雪は降り続けている。 雪が降る空を見上げる、となんだか沢山の虫たちが落ちてくるような感じで見かけがかなり気持ち悪かった。 だが、実際に降り落ちてくるのは白くてふわりとして冷たく軽い雪。  僕は何気に一人雪が降っていることに対して興奮していると一人女性の声が聞こえた。 「そんなに雪が降っているのが嬉しいの?」 僕は声の聞こえる方を振り向き、屋上に設置してあるベンチにちょこんとお人形のように座っている女子生徒がいた。 「いったい誰なんだろう」 と思いながらも先に声を掛けられたので、話し返した。 「はい。雪が降るとやっぱりなんだかワクワクするんですよね...」 苦笑い交じりに僕は話したが、その前にこの人は誰なんだろうと思い聞いた。 「あの...いったい貴方は誰なんですか...?」 ベンチに座っていた女の子は、さっと立ち上がり僕の近くまで歩み寄り微笑みながら「ここの女子生徒ですよ」と言った。 「あの、そんな事を聞いているのではなくて、名前を聞いているんです」 と聞き直すと 「ごめんなさい、ちょっとふざけちゃった」 「改めまして、私は二年の瀬戸真白と言います」 名前を聞いた瞬間、僕は一度だけだがその名前を聞いたことがあった。 普段は学校に来ないけど、その美しさは学校内でも知らない人はいないほどの美しい人だと。 普段からあんまり、人の事に興味がなさ過ぎて人の二つ名とか、気にしていなかったが、つい先日その話をしていたのですぐに思い出した。 僕はこの人があの噂で聞いた「幻想の姫」と呼ばれている人なんだ。 そう思ってまじまじと瀬戸さんの顔を見ていると 「ーーの...」 「ーーます?」 「あの、聞いていますか?」 そう言われ、僕は気を戻し 「えっと、ごめんなさい。なんでしたっけ?」 「だから、私は自分の名前を教えたんですけど、まだ私は貴方の名前を知りません」 「それで、あなたの名前は何て言うんですか?」 彼女は腕を組み、少し右足をトントンとリズムを刻みながら言った。 軽く息を吸って一間開けてから 「自己紹介が遅れました、僕は二年三組の長浜悠真です」 僕が自分の名前を言うと、彼女はへぇーと言いながら 「同い年だったんだ、あなたと」 そう言い彼女はあまり人に興味がないのか、それとも僕のことに興味がないのか知らないが違う話をはじめた。 「ねぇ長浜君、なんで雪が好きなの?」 急に瀬戸さんから雪が好きな理由を聞かれ、何と答えようか少し考えていると 「長浜君は雪が好きな理由、何もないの?」 とせかられ 「しいって言えば、雪はなんだか見てて楽しいんですよね」 「いつもとは違う景色を、雪は表してくれるから」 「違う景色ってどういうこと?」 「その、いつも見慣れた町並みも雪が降ることで一面銀世界になって 「そんな優柔不断な答え方をしていると一生一人ぼっちになるわよ」 と少し苛立ちを立てながら僕に言った。僕はきっぱり雪、好きですと答えるとそうなんだと今度は素っ気ない返答をし、彼女に対しての第一印象は少し変わった子だなと僕は思った。  翌日僕は昨日の出来事を友達の拓海に話すことにした。それで僕が拓海に話しをすると 「お前多分きっと見間違えだぞ」 と言った。僕は確かに昨日自己紹介をしたので聞き間違えではないはずだが、拓海によると瀬戸さんはそんな変わった人ではないと言う。彼女の第一印象は拓海の聞く辺りでは、清楚でおしとやかな人で、周りにも優しくそんな変なことを聞くようなことは無いという。だから卓也が言うにただの聞き間違えか、妄想だろうと笑って言った。僕はなるほどねと一人で言いながら自分の席に戻りやっぱりただの幻覚でも見たんだろうと自己処理した。  放課後でもやはり気になり僕は屋上へと向かって行くと、屋上とつながっているドアがやはり昨日と同じで少し開いていた。僕はもしかして昨日と同じように会えるのではないかと思い少し緊張しながらも屋上に行くと、そこには昨日と同じように瀬戸さんがベンチに座っていた。僕は今回勇気を振り出し自分から話しかけた。 「あのー瀬戸真白さんですよね」 僕はちょっと疑問形で聞くと 「そうですけど、いったい何の用ですか同じクラスメイトの長浜君」 僕はやはり昨日話したのは瀬戸さんだと確信できたので質問をした。 「あなたは清楚でおしとやかのある人なんですか?」 僕はストレートに質問し聞くと彼女は笑いながら 「あなたみたいにストレートに変な質問してくる人初めてですよ、それに何なんですかそのおしとやかかで清楚なんですかって言う質問は?」 彼女はクスクスと笑っている。僕はしばらくしてからすべての事情を話すと彼女は納得して質問に答えてくれた。 「まず私は自分でおしとやかとか清楚感があるとか考えたことありませんよ、それに私は好きでそのキャラ演じているわけではないんですし」 僕はこの話をあまり聞かない方がいい話だと思い無理して話さなくても大丈夫ですと言った。彼女は僕を見て少し笑ってから 「貴方は優しいんですね、普通に私と話してくるしそれに他の人と違って温かいです」 僕は彼女の言っている意味があまり分からなかったが、瀬戸さんは普通に話がしたい一般的な女子高生なんだなと、僕の目には写ったから彼女に僕は 「あのもしよければこれからも一緒に放課後お話ししませんか?」 僕は大きな賭けに出た。ここでもし拒否されたら、今後あった時に気まずい感じになるからだ。 彼女は僕のお願いを聞いて、二拍空けてから 「いいですよ、私はいつでもあなたと話したいので」 僕はマイナスの事ばかり考えて今後どうしようとかばかり考えていたが、今の話しを聞いてとても嬉しかった。その反動で彼女の両手をつかんでいた。僕は気づくと急いで手を離し謝ると、彼女はこれからよろしくね!と手を前に出し僕と彼女は握手してこれから毎日放課後ここで話すことにした。でもその中で約束もあった。ここに来ることは内緒であり絶対に誰にも話さないことこの二つだった。僕は彼女と約束をし、それ以来誰にも話そうとはしなかった。
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