第二章 時の流れと僕の生活

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第二章 時の流れと僕の生活

 あれから月日が流れ今は十二月の冬空の下僕は、放課後になると屋上で話をする。毎日運動場から聞こえる運動部の掛け声と、吹奏楽の練習するトランペットやクラリネットの音が学校中に広がり今いる僕たちの屋上にも音が伝わってくる。今日もそんな何も大して変わらない日々の放課後僕たちは初めて明日土曜日一緒に親睦会という名の名目で出かけることになった。行先は水族館、寒さも天候も気にしないで過ごせるということで僕たちは今話をしている。多分普通なら水族館とかは高校生の男女が一緒に行くというならデートなど考えるかもしれないが、今回は親睦を深めあうことが目的なので決してデートではないぞと瀬戸さんに何度も言われ僕は、分かってますよと何度も言う。  それから僕たちは放課後話あった末に県外の水族館に行くこととなった。瀬戸さん曰く念には念を入れよといい片道一時間半かけて水族館に向かうことになった。 翌日僕は集合する時間の十分前に駅前噴水広場にて瀬戸さんを待った。瀬戸さんは集合時間ぴったりに来た。僕は最初彼女の服装を見たときに、少し大人っぽい服装で学校の時とは違って同い年なのになぜか彼女のほうが少しお姉さんのような気がした。 「おはようございます瀬戸さん、今日は一日よろしくお願いします」 「はい長浜君、こちらこそお願いされます」 僕と彼女はちょっとワクワクしながらお出かけを始めた。  水族館に着いたのは約十時半過ぎ、僕たちは早速入場チケットを買い相模湾ゾーンから見て回った。途中ペンギンやウミガメを見たりして、水族館と言ったらやっぱりイルカショーを見ないと水族館に来た感じがしないので、イルカショーの時間になると、たくさんのファミリーや恋人たちの中に紛れながらも僕と瀬戸さんはイルカショーでイルカがジャンプするところなど写真を撮って盛り上がった。イルカショーが終わると深海コーナーとクラゲコーナーを見て最後にもう一度深海コーナーがありお土産を買って水族館を出た。  気づけばあっという間に時間は午後二時過ぎ、僕たちは水族館を出てお昼ご飯を食べに水族館から近場の場所をスマホの地図アプリで調べ、いい感じのお店があったのでそこでお昼ご飯を食べることにした。お店は少し古風な感じでメニューも豊富だ。僕たちはお店に入り席に着くとメニューを見て選んだ。 そしてしばらくしてからお店の人を呼び、マグロ&シラス丼と地魚盛り丼を注文し食事が運ばれてくるまで瀬戸さんと僕はイルカショーの話や水族館での話で盛り上がった。  注文した食べ物が運ばれてくると瀬戸さんはスマホを出してすぐに写真を撮った。僕は今どきの女子高生はすぐに何でもかんでも写真に収めたがるんだなと一人で思った。 ご飯を食べながら僕と瀬戸さんはこの後何をするかを話し、ご飯を食べ終わったら江の島を少し歩いて散策し最後に砂浜で海を見て帰ることになった。  ご飯を食べ終わりお店を出た、最初に江の島キャンドルに向かい、そこから見える景色を眺め、次に江島神社に行き参拝をして最後の砂浜に行って海を眺めて帰りの電車に乗った。瀬戸さんとは途中駅で乗り換えの時に分かれて、僕が家に着いた時にはすっかり空は暗く時刻は午後七時をまわった。家についてからは瀬戸さんに今日はありがとうございましたとメッセージを送り、すぐにこちらこそ楽しい一日をありがとうと送られてきて僕は、瀬戸さんも楽しめてよかったなと思いながらそのままお風呂に入りご飯を食べ寝る準備を終わらせるとすぐに自分の部屋のベッドで寝てしまった。  翌朝目が覚めるとなぜか僕のベッドに瀬戸真白がいた。最初は寝ぼけているのかと思いすぐに二度寝をしようと思い布団を頭までかぶり寝ようとしたが、やはり気になりすぎてもう一度僕のベッドの隣を起き確認するとやはりそこには瀬戸真白が隣ですやすやと寝息を立てながら寝ている。僕は瀬戸真白の寝顔をもう一度見るとその寝顔はとてもかわいらしく天使のような感じだった。でも僕は寝ている彼女の体をゆすって起こそうとした。 「あの瀬戸さん起きてください朝ですよ」 彼女は全く反応もせずにまだ寝ている。僕はもう一度彼女を起こすために今さっきよりも少し強めに体をゆすりながら 「起きてください瀬戸さん、朝ですよ」 彼女はうぅーんと言いながら体を起こし 「おはよう長浜君」 と何もなかったかの如く目を覚ました。だから僕は彼女に言った。 「なんぜ僕の隣で瀬戸さんが寝ているんですか?」 「なぜって今日の朝六時にこの場所を訪れたらたまたま家の鍵が開いていてちょうどいいやと思って長浜君の家の中に上がらせてもらったら、まだすやすやと寝ていたから私も少し寝ようと思ったらこんな感じになっちゃった」 彼女は笑いながら僕に言った。 「勝手に入ったら不法侵入ですよ、瀬戸さん」 僕はちょっと厳しめに注意すると 「ちゃんとお邪魔しますって言ったらどうぞと長浜君のお母さんが言ったから、不法侵入ではないですよ。それにお母さんはなぜかゆっくりって言って出て行っちゃいましたけど」 僕はあの能天気な母親のせいで朝からこんなことになったんだなと思いすぐさま母親にラインした。 『母さん、勝手に家に友達を上げないでくれよ』 母さんからはすぐに既読が付き返事が返ってきた。 『おはようゆうまたん、それで朝からはいいことできた?』 母さんは全く話の内容がかみ合わずもう一度送りなおすと 『ごめんね、私も良かれと思ってあげちゃった。今度お小遣い値上げするから許してね♡』 母さんとはそれ以降連絡はつかなくなった。僕は仕方ないと思い来月の小遣い値上げで許すことにし 「瀬戸さんは朝ごはん食べたの?」 と話を変えた。 「まだ食べてはないですね」 僕はじゃ一緒に朝ごはん食べる?と聞くとちょっと恥ずかしそうに 「迷惑でなければ一緒に食べたいです」 「じゃ一緒にご飯を食べよう」 と僕はいい瀬戸真白とは昨日からずっとなんだかいるような気がした。それから先は僕の家で高校生らしく勉強やったり、ゲームしたりと楽しみお昼も僕と一緒に料理をしなんだか兄妹のいるような日をすごした。  午後になり瀬戸真白は家に帰った。僕も彼女が帰った後に晩御飯の準備をするため、冷蔵庫の中身を確認し適当に冷蔵庫の中の材料でできるカレーうどんを作ることに決め、それから料理を始めた。  カレーうどんができると僕は一人リビングのテーブルの上にカレーうどんを入れた容器をぽつんと置き 「いただきます」 と一人さみしいような声でボソッといい食べ始めた。母はいつも夜中に帰ってきて起きる頃には家を出て仕事に出る。父は日本経済を支える会社の社長をしているため普段は会社で寝泊まり、だからいつも家には小学校三年生からは朝から寝るまではずっと一人ぼっちだ。 今考えるとなんてことないのだけれど、最初のころは苦労した、小三で家事をすべて一人でやるのはどれだけ大変かその幼さで十分と体で分かり高校生にもなると、ほかの女子よりも女子力は半端でないほど高いと自慢できる。お菓子作りもクッキー以外にマカロンや本格チーズケーキなど様々な食べ物も作れ、友人の拓海も俺のチーズケーキはおいしいと周りによく言う。そんなことを思い出しながらカレーうどんを食べ上げ、洗い物を終わらせるとお風呂と歯を磨き後はソファーで横になって時間をつぶした。  翌朝テレビのうるささで目が覚め、僕はそのままソファーで寝てしまったが僕の体に一枚に掛布団がかけられていた。それはきっと母さんが帰ってきて僕にかけたのであろう、そんなことを推理しながらいつもの朝より時間に余裕があり、朝食もいつもより豪華な感じのものを用意してご飯を食べた。  すべての準備が終わり月曜日の午前七時二三分、僕は学校へ向けて家を出た。学校へは歩いて徒歩三十分ぐらいの場所にある高校でいつもは電車で行くが今日はなぜか徒歩で行こうと思い歩いて向かった。  学校に着くとなぜか騒がしい、僕は靴箱から自分の教室に行くとそこにはあの瀬戸真白がいたからだ。 「おい悠真あれが例の瀬戸真白だぞ」 拓海は俺の場所にきてすぐに言った。僕は知ってるよとは言わずにそうなんだねと少し興味なさそうな感じでいうと 「なんだ、興味ないのかよ」 拓海はそう言いながら僕の場所から離れていき瀬戸さんの近くで他の男子と話をしている。 僕は一人教室の橋の席で本を開き読書をしていると 「おはよう長浜君」 彼女はどんなつもりで僕に話してきたのかはわからないが、瀬戸さんが僕に話しかけたせいでクラスの男子の目線が少しきつい。それでも僕はあいさつの返答をした。 「おはよう瀬戸さん」 僕は普通に朝の挨拶をすると、急に彼女は僕と同じ高さまでしゃがみ 「これからも一緒に楽しい青春時代を過ごしていきましょうね」 僕は急に何を言うかと思うと少し馴れ馴れしい口調で僕の耳元で言った。  見ていた男子は何を言ったかは聞こえていないが美女の瀬戸真白が僕の耳元で囁く姿を見てすぐに近くまで寄ってきた。もちろん瀬戸真白は僕からは離れようともしなかった。 クラスの男子はみな最初に口をそろえて 「瀬戸さんと長浜君はいったいどんな関係なんですか」 僕はゲッと思いなんて答えようか少し困っていると、僕を助けるかのごとく 「長浜君とは少し昔に話したことがあってそれで今日久しぶりに会ったので、ちょっとだけからかってみただけですよ」 彼女は冗談なのかは全くわからないがクラスの男子は皆ホットしている表情で 「そうだったんですね」 といった。  それから彼女はまたねと言って教室から出ていくと、クラスの一部トップのグループからは 「あの引きこもりのくせになんであんなに男子から人気があるんだよ」 「ずっと家で引きこもっとけばいいのに」 などなど腹黒く嫌味や妬みをずっと言っていた。僕はすぐには後を追いかけることはできなかった、もしもここで追いかけたらなんてクラスの中で言われるかたまっちゃもんでない、でも僕はなぜか放課後いつものように瀬戸さんと一緒に話す時間が早く来ないかなと楽しみでしょうがなかった。  放課後今日も外の風は寒い、それもそうだろう、なぜなら今はもう十二月なのだから。そう思いながらもブレザー制服の外ポケットに今日朝から入れたカイロを取り出しシャカシャカと振りながらいつものベンチに座っている瀬戸さんの所へ向かい、隣に座った。 「あら早かったわね、長浜君、私はもう少し遅くなると思っていたのだけれど」 僕はおいおい今日の帰りのHR一緒に教室にいただろうとツッコミを入れたくなったが、僕はツッコミをするのも面倒になったので 「別に早くてもいいんじゃないんですか」 といった。瀬戸さんはつまんないと僕に駄々をこねるように言って、なんか面白い話をしてよと僕に言った。僕は何か面白いことはないかなと思いダジャレを考えて 「瀬戸さん、カエルは帰る」 「何それ、まさかダジャレなの、全く面白くないしそれに逆に寒いし」 僕はなぜそんなことを言うのかなーと思いながらも僕は自分で完全に滑っていたことぐらいは把握していた。 「ほかになんか面白いことでもないの長浜君」 そうだなーと言いながらも特に話すことがなかったので、適当に今見えている景色について話した。
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