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一つ寝床に寝転んで、蓮鬼は庭の桜をぼんやりと見る。隣では羽鬼が寝息を立てている。
どうにも離れがたくなってしまった。いや、それでもいいとは思っているのだが。
想いが成就しないのなら、知らぬふりをして再び旅に出る。そうして一年頭を冷やして戻ってきて、まだこの想いは冷めていないのだと思い知って、また頭を冷やしに出る。それの繰り返しだ。
だが、この想いは今夜成就したのだろう。ここでまた旅に出ると言えば、羽鬼は今度こそ激怒するか、無理矢理にでもついてくるに違いない。
「まぁ、捕まってみるのも悪くはないか」
呟いた蓮鬼は満足げに笑う。そして、明け始めた空を背に布団に潜り込み、再び寝入るのだった。
【完】
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