1.君と出会ったその意味は

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「試しに……付き合ってくれるだけでもいいんだけど……」 「ごめんね。どう言われても無理なんだ」  俺は努めて淡々と答える。  そして俯いた彼女に、とどめのように静かに告げた。 「俺、いまは誰とも付き合う気ないから」  だからって体だけの関係を持ち出されても困るんだけどね。たまにいるんだよ。付き合えないなら、セフレはどう? なんて言ってくる人も。  別にセフレ自体に嫌悪感があるわけじゃない。実際そうと割り切れる相手となら、俺だって関係を持つことはある。  だけど、そこから気持ちが拗れることがないように、同じ相手とは極力回数は重ねない。多くてもせいぜい2、3回。それくらい、徹底して特別な相手は作らないようにしていた。  だから当然、付き合ってダメならすぐ別れる――みたいなのも無理なのだ。そもそもそれは相手にも失礼だし、ある意味俺にも失礼じゃないか? そう考えると断るのが礼儀だとも思えてくる。  初恋の君(英理)だって言ってくれるはずだ。思わせぶりにするよりはずっといいって。あの子はどこまでも純粋無垢で――誰より俺の味方でいてくれたから。  ――何より、 (それでもし俺の方が本気になってしまったら……)  俺はきっと後悔してしまう。そんな相手に出会ってしまったことも、そこに至るまでの経緯も何もかも。いつか絶対になかったことにしてしまいたいと思う時が来るのだ。
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