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君を抱くつもりはなかったのに。
……なんて、今更言い訳にもならない。
月明かりが雲で陰っても、俺はその手を止めなかった。どころか、より月が隠れているうちにとも言わんばかりに、いっそうその身体を揺さぶった。
やがて俺は彼の中に熱を放った。――そして彼にもそれを強要した。
無理矢理内側から煽り立て、直にもそれに指を絡めて、執拗に、かつ的確に追い詰めた。そうして、目の前で白く濁った飛沫が散ったのを見てから、俺はようやく彼を解放したのだ。
月明かりが再び部屋の中を優しく照らす。
黙って衣服を正した俺は、何気なく窓の外を見た。
――今夜は花火も上がらない。
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