11.変わったのは

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「そんな驚きます?」 「あぁ……いや、ごめん。何か……」  驚くよ……。  だって正直、君の高校の時の相手は普通に女の子だと思っていたし、なによりあのどこか胡散臭……裏のありそうなあの男と、静が、なんて……。  悪いけど、全く分かる気がしない。 (それに……そもそも祐ちゃん(向こう)は……)  あれは相当な女好きでしょ……?  …………って、俺が言うのもなんだけどさ。  でも、実際彼には今もあんな可愛らしい彼女がいて、大学入ってすぐからだって、別の女の子と付き合っていたって言うし?  そんな相手が、実は静の高校の先輩で――かつ、静の元恋人? (……どうなのかな、それは)  別に今更、あの男の性的指向が何かなんて問う気にはならない。  だけど、それを置いても静の単なる思い出話の一つとして、手放しで認めてあげられないのは何故だろう。  静から聞いていた別れの原因――相手が大学に入ってからの、〝遠距離による自然消滅〟――が、たちまち白々しく思えて来たからだろうか。  静の中での〝彼〟は、いまだに優しく誠実な人なのかもしれない。  けれども、ほぼ一度きりとは言え、俺が目にした〝彼〟の印象はそこまで良くはなかった。 (きっと次ができたからふったんだろ……自然消滅を装って)  半ば直感ではあるけれど、あながち間違ってもいない気がする。  思わず閉口してしまった俺を余所に、静は淡々と続けた。 「再会したのは、俺が前のバイト先に勤めてた時で……あぁ、ほら、俺があの……同じスタッフの女の子に告白されたって日、覚えてます……?」 「ああ……確か、二年前のクリスマス……?」 「そうです。その日に、偶然再会して」 「その日に?」 「はい」  静はあっさり頷いた。  俺は静の顔をまっすぐ見返したまま、再び言葉に詰まった。
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