11.変わったのは

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 *  * (〝祐也さん〟か……)  ベッドの上に仰向けに寝転がり、見慣れた天井を見るともなしに眺めながらぼんやり思う。  深く長い息をつくその隣で、静がうつ伏せのまま静かに寝息を立てていた。当然のように、その顔は俺の方へは向いていない。 (好き、とか……そういう未練は確かになさそうだけど)  俺はそっと上体を起こし、改めて静の姿を目に留めた。  間接照明の中、疲弊しきって投げ出された身体は、あちこちに淡い痕を残してぐったりとしている。首筋に張り付く細い髪。きっとその面持ちは気怠さを残したままに違いない。  濡れタオルで清めるくらいはしていたけれど、どう見ても事後のそんな姿態はそれだけでひどく艶めかしく見えた。  彼が気絶するように眠りに落ちるまで、俺は自分でも理解できない涙を誤魔化すように何度も彼を抱いた。  しつこいくらいに彼を追い詰め、追い上げるうち、いっそう酔いが回って酩酊していたのを知りながら、なおもその身を揺さぶり続けた。  意識が飛べば半ば無理矢理に覚醒を促し、場所を寝室に移してからもその手は一切緩めずに――。  ところどころに染みを散らしたシーツの上、規則的な呼吸音に混じって、時折「ん……」という甘い吐息のような声が聞こえる。  俺は振り払うようにふるりと頭を振った。  互いに今、身に着けているのは下着一枚だけだ。その上に――静の腰には薄手の上掛けが掛けてある。  俺は無言でそれに手をかけた。そのまま静の肩まで引っ張り上げて、その身体のほとんどを覆ってしまう。  ……まるで(自分)の目から隠すみたいに。 「まぁ……気持ちがなくても、傷つくことは傷つくよね」  俺は努めて切り替えるように呟くと、静を起こさないよう注意しながら、ベッドを下りた。
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