1.君と出会ったその意味は

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「で、見城(けんじょう)さんはどうします? 俺は今日バイトないんで、これからサークル……」 「あぁ、俺も行くよ。君が行くのに、サークルに誘った俺がさぼるわけにいかないでしょ」  これと言った予定が入っているわけでもないし。  当然とばかりに肩を竦めて見せると、  「誘ったって言っても、全く覚えられていませんでしたけどね」 「あぁ……それいつまで言われるのかな」 「さぁ。俺が飽きるまででしょうか」  なんて、意外と辛辣な返しをされてしまう。 「……まぁほんと、手当たり次第でしたもんね」 「そう言われると、語弊がある気がするんだけど……」  確かに、新入部員を勧誘した時(あの時)は俺もたくさん声をかけた。そして実際、俺は彼のことをよく覚えていなかった。  だけどね……。だからって、本当に誰彼構わずってわけじゃなかったと思うんだよ。……いや、言い訳じゃなく。 「でも、今日は通しとかないですよ」 「(せい)は大道具の整理だろ? やることなければ手伝うよ」  取り繕うように笑顔を向ければ、彼は一瞬戸惑いつつも、「どうも」と小さく頭を下げた。ちょっとだけ面倒くさそうに、「怪我だけはしないでくださいよ」と付け加えたのは、多分彼なりの照れ隠し。  時折垣間見える、そういうところがちょっと可愛い。 「気をつけるよ」  素直に頷くと、彼は黙って俺から目を逸らした。 (……そういうの、新鮮なんだよね)  俺は密やかに肩を揺らしながら、静と共に部室に向かった。
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