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誕生日は三年続けて祝わせて貰えたけれど、クリスマスとなると本当に縁がなかった。
結局去年のクリスマスも、前の年と同じで俺が帰省を余儀なくされたため、一緒に過ごすことはできなかった。
結果、またしても日本にすらいられなかったから、静がその夜をどんなふうに過ごしたのかを俺は知らない。
まぁ、昼間は普通にバイトだったみたいだけど。……でも、それだって、昼間はってことは夜は空いていたってことだろう?
……なんて、どんなに気になってもそこは訊けないんだけどね。情けないことに。
以前に比べればずっと彼との距離は近くなった気がしているのに、そういうところには相変わらず触れられないままだった。
……て言うか正直、俺以外の誰かと一緒だったなんて話なら、聞かない方がましな気もするし……。
そんな中、迎えた12月。君と出会って四度目のクリスマスが、数週間後に迫っていた。
俺が院二年、静が四年生となった今、二人で過ごせるかもしれないクリスマスはきっとこれが最初で最後だ。
(最初で、最後……)
改めて反芻すると、胸にちくりと痛みが走る。
静にはまだ何の提案もしていない。
だけど実家には既に「用があるから帰れない」と先手を打ってある。同様に年末年始も帰らない予定だ。
……だって本当にこれが最後だから。
静と共にいられる時間は、この先そう多くはない。春になれば――少なくとも4ヶ月足らず後には、俺と静は確実に別々の道を行くことになるのだ。そうなれば、もう顔も見られなくなってしまうかもしれない。
だからこそ余計に望んでしまうのだ。
今は少しでも彼の傍にいたいって。少しでも多くの時間を……いい思い出を彼と共有したいって。
……せめて別れの瞬間までは。
思えば、俺の取るべき選択肢は一つしかなかった。
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