*13.君を欲してはいけない

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 *  * 「ちょ……っ、待……!」  枕元にあったローションだけを頼りに、手早く躙っただけのそこに先端を押し当てる。  俺は全て着衣のまま。静の服も、まともに脱がしたのはジャケットだけ。床に投げた拍子に、ポケットから滑り出た携帯が傍らに転がっていた。  あとは下だけ半端に露出させられ、(わだかま)る服に動きを制限されて、それでもうつ伏せのまま逃げるようにずり上がろうとする彼の身体を引き戻し、 「やめっ、離……っ」 「今更だよ」 「待……っ、――いっ……あ……!」  俺は躊躇うことなくその慎ましやかな窪みを開いていく。  いつも以上に狭い隘路。ぐち、とあられもない水音がしても、反発がきつくて滑らかには動けない。  それでも俺は強引に腰を進める。申し訳程度に浅い抽挿を挟みながら、静の言葉も聞かずに繋がりを深くしていく。 「い……っ、ぁ……飲んでも、ねぇのに……っ」 「あぁ、お酒入ってないと、やっぱり恥ずかしい……?」 「そ、いう……意味……っじゃ、――っぁ、あ……!」  谷間を暴くように広げ、ず、と更に奥へと押し込める。腰だけ掲げた格好で、目の前のクッションに埋めるようにしていた静の頭がびくんと跳ねた。 「君が教えてくれないのが悪いんだよ」 「は、ぁ……っ?!」  苦しげに絞り出される声。そのくせ、俺を一瞥する眼差しには毅然とした色が残っている。  俺は思わず視線を逸らす。俯くように下を見る。その視界に、生々しく充血した接合部が映った。 (……だって、君が隠すから)  言い訳のように心の中で重ねながら、痛々しいほどに張り詰めている縁を指先でなぞる。明らかに準備が足りていないせいもあるのだろう。出血などはしていなかったが、されるままに広がったそこはいつにも増してぎりぎりに見えた。  ――あぁ、可哀想に。  心から思う。  思うものの、 「動くよ」  次には容赦なく彼の片腕を掴み、後ろに引くようにしながら最奥を穿っていた。
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