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後ろから抱き込むような格好は変わらないまま、俺は少しだけ引き上げて間近となった静の首筋に唇を寄せる。
淡い痕を刻みながら舌を伸ばし、肌の上に線を描く。舐め上げながら耳朶を食み、耳孔へと舌先を差し入れれば、逃れたいように静の上体が僅かに仰け反った。
「ぁっ……待、っ、――!」
包み込み、上下させた手の中で、びくんとひときわ脈打ったそれが、とろとろと雫を溢れさせる。
弾ける間際だろうそれを緩やかに追い上げると、刹那、静の片手が縋るみたいに俺の髪を無造作に掴んだ。
静は唇を戦慄かせ、堪らないように吐息を震わせて、かと思うと、間もなく水面下で白濁を散らした。
「……っは、ぁ……」
静の顔を覆っていた腕が、脱力してぱしゃりと水面を打つ。もう一方も俺の髪から離れ、同様に水の中へと落ちた。俺へともたれかかる身体も、まるで全てを委ねるとばかりに弛緩する。
……何だかいつもより無防備だ。
それは誘ってるって……みなしていいの?
「……静」
君に、もっと触れたい。
視界に映る胸の突起が、ひときわ色味を増して硬くなっているのがわかる。俺はそれに指を伸ばし、その先端を不意打ちのように爪先で弾いた。
「――っあ!」
達したばかりで敏感になっているのを知りながら、俺はその頂きを指で挟み、そのまま痛いくらいに捻り上げる。屹立の残滓を絞り出していた他方の手を、更に奥へと向かわせながら――。
「ちょ……、ぇ、待っ……」
「ちょっと触る、だけだから……」
はっとしたように静が俺を見る。生理的な涙を目尻に浮かべ、うっすらと開いた静の瞳が、確かめるみたいに下に向く。
それから引き留めるように手首を掴まれたけれど、残念ながらいまの静にそこまでの力はない。
「今更って言ったの、君だよ……?」
俺はさせるに任せたまま、けれども、自分も手を止めることはしなかった。
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