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「ぁ……っやめ、待……っ……」
「何を……? 何をやめるの? 静……?」
「……っ」
――名前を。
名前を、そんなふうに呼ばないでほしい。
そんなふうに俺を、大切そうに扱わないでほしい。
じゃないと、このままでは錯覚してしまう。
最初から諦めているのに。
ありえないと思っているのに。
そうあってほしいと願ったことすらないはずなのに。
なのに……なのに、勘違いしてしまいそうになる。
――もしかしたら、俺はこの人に愛されているんじゃないかって。
こんなにも彼の体温を心地よく思ったことはない。
こんなにも満たされていると感じたことはなかった。
だけど、どのみちこれは仮初だ。
思うのに、次第にそれしか考えられなくなりそうで、俺は抗うように首を振った。
「静……ねぇ、俺…………」
「や……、め、っ……」
「俺――……俺の、名前も……呼んでよ」
「ぃ、あっ……!」
ひときわ深く貫かれるのと同時に、背中を抱く腕にぐっと力を込められる。不意打ちのようなそれに思わず上体が反れて、突き出すようになった胸に舌を伸ばされた。
痛いくらいに張り詰めた突起を食みながら、他方の手が互いの合間へと入り込んできて、どろどろになった下腹部へと触れてくる。
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