*17.No title【Side:暮科静】

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「ぁ……っやめ、待……っ……」 「何を……? 何をやめるの? 静……?」 「……っ」  ――名前を。  名前を、そんなふうに呼ばないでほしい。  そんなふうに俺を、大切そうに扱わないでほしい。  じゃないと、このままでは錯覚してしまう。  最初から諦めているのに。  ありえないと思っているのに。  そうあってほしいと願ったことすらないはずなのに。  なのに……なのに、勘違いしてしまいそうになる。  ――もしかしたら、俺はこの人に愛されているんじゃないかって。  こんなにも彼の体温を心地よく思ったことはない。  こんなにも満たされていると感じたことはなかった。  だけど、どのみちこれは仮初だ。  思うのに、次第にそれしか考えられなくなりそうで、俺は抗うように首を振った。 「静……ねぇ、俺…………」 「や……、め、っ……」 「俺――……俺の、名前も……呼んでよ」 「ぃ、あっ……!」  ひときわ深く貫かれるのと同時に、背中を抱く腕にぐっと力を込められる。不意打ちのようなそれに思わず上体が反れて、突き出すようになった胸に舌を伸ばされた。  痛いくらいに張り詰めた突起を食みながら、他方の手が互いの合間へと入り込んできて、どろどろになった下腹部へと触れてくる。
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