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続けられる規則的な抽挿。
屹立を煽る熱い手のひら。
「静、静」と何度も呪いのように繰り返される俺の名前。
焦れたように胸の先へと絡みつく吐息。
そしてその傍らへと刻まれるいくつもの鬱血の痕――。
……だめだ。
もう何も考えられない。
思考も視界もぼやけて、身体も心も境界が曖昧になっていく。言い知れない多幸感に全てを包み込まれてしまう。
「静……ねぇ、静……っ」
「ぁ、や……っ、深……!」
あられもない音と共に、再び身体を強く抱き竦められる。近すぎる距離。これ以上ないほど奥深くを穿たれ、眼窩で火花が散った。
内腿が引き攣る。腰ががくがくと勝手に震える。熱すぎる熱がせり上がってくる。
俺は縋り付くように彼の頭を掻き抱いた。知らず彼の腕へと応えるように力を込めて、怖いようにぎゅっと目を閉じる。堪える間もなく、ぽろりと涙がこぼれ落ちた。
堰を切ったように溢れてくるそれは、さながら溢れさせてはいけない想いの代わりのようで、俺は人知れず胸が一杯になるのを感じながら、
「――将人、さ……っ」
最後に彼の名前を呼んだ。
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