18.夢の続きを【Side:見城将人】

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 いつになく、君に強く抱き締められた。  いつになく、君の声は甘かった……ように思う。  まるで俺の秘めた想いに応えるみたいに。  相変わらず顔はほとんど見せてくれなかったけれど、あれは……あの反応は、確実にいつもとは違っていた。  そのせいで、錯覚しそうになったんだ。  ねぇ、静。  君ってもしかして、俺のこと――。 「静……ねぇ、俺…………」  おかげで、うっかり告げてしまいそうになった。 「俺――……」  俺も、君のことが好きだよって。  直前に、違うとばかりに首を振られていなかったら、きっと言ってしまっていただろう。  そこで少し冷静になれた俺は、「俺の名前も呼んでよ」なんて、最初からそのつもりだったように言葉の先を変えながら、密やかに自嘲した。そしてそれを誤魔化すように、ひときわ強く君を抱いた。 「可愛かったな……」  それでも、あの日の君はやっぱり幸せそうに見えたんだ。  君は言葉をくれないから、その心はわからない。わからないけど、少なくとも仕方なく付き合ってくれているようには見えなかった。  それがとても嬉しかった。 (……誘って良かった)  まるで綿菓子(コットンキャンディ)みたいに甘く蕩けるようなクリスマス(時間)だった。本当に、本当の恋人同士が共有(シェア)するような……。  ――そんな関係のまま、別れの日()まで過ごせないだろうか。 (プレゼントは、受け取ってもらえなかったけど……)  包装されたまま、壁際のデスクの上にあるそれを思うと、少々複雑な心境になるものの――。 (まぁ、まだ時間はあるし……)  残された時間は、あと3ヶ月弱。  決して長くはないけれど、何もできないほど短くはない。 (……まずは初詣かな)  アリアは今年も年始は休みだと告知がされていた。ということは、31日(大晦日)のバイトの後からはきっと静も身体が空くはずだ。  思えばへこんでもいられないとばかりに、俺は気持ちを切り替える。  自室で迎えた一人きりの目覚めは正直残念だったけれど、それでもまだしばらくは一緒にいられる――そう思えば、自然と顔が綻ぶのを止められなかった。
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