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指先が微かに震えてしまうのは、思いのほか身体が冷えているせいだ。
……と言いたいところだけど、本当は柄にもなく緊張しているせいかもしれない。
逸る気持ちを抑えながら、丁寧に包装を解いていく。
解いたリボンを天板に置き、できるだけ傷つかないようそっと外した包装紙をその傍らに置いた。
品のある木箱の蓋を開けると、中には滑らかなベロア生地に包まれた一本の瓶。
きれいに正面へと向けられた、そのラベルに書いてあったのは、
「これ、俺の……」
見慣れた四桁の数字――俺の誕生年だった。
(……君って人は)
俺があの夜、君に用意していたのは君の誕生年のワインだった。
それを元々知っていたかのようなプレゼントに、たちまち胸が一杯になる。
(だからすぐ、気づいたのかな……)
ラベルの表面を指先でなぞると、いっそう気持ちが極まって、目頭が熱くなる。
「……反則だよ、静」
俺はぽつりと呟きながら、踏みとどまるようにそっと目を伏せた。
それでも口元が緩んでしまうのは止められない。
……困ったな。
どうしたらいいんだろう。
俺はあのクリスマス以来、ますます君のことが好きになってしまっているというのに。
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