18.夢の続きを【Side:見城将人】

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 困ったな。  上手く言葉が出てこない。 「なので……今年は」 「あ、うん。そっか。そういうことなら……」  何となく謝罪を重ねられたくなくて、俺は遮るように笑って言った。 「ご両親も心配されているだろうし……その方が弟さんも喜ぶだろうね」 「……いえ、弟は……」 「え……?」 「弟とは年も近いですし、もともとそんな仲がいいってわけでもないので」 「あぁ、そう……なんだ」  努めて平静を装い、当たり障りのない相槌を打つ。  けれども、その一方で俺はますます打ちのめされていた。  あぁ、俺は本当に何も知らなかったんだなって。  あえて聞かないようにしていたところもあるけれど、俺は静の家族構成――(兄弟)がいるかどうかすら聞いたことがなかった。それくらい、単なる友人同士だって普通に話せることなのに。 「……あ、もしかして、年下苦手っていうのは」  せめてもと、俺は記憶の中にある数少ない君の情報を思い出す。  静は苦笑混じりに持っていたグラスを天板に戻し、僅かに目を伏せた。今日の水は多くも少なくもない。恐らくは基本に忠実な、ちょうどいい量だった。 「よく覚えてますね」  はっきり肯定はされなかったが、その反応は認めたも同然だ。 「親が再婚して、急にできた弟だったんです。まぁ、それも小学生の頃の話なので、もう付き合いは長いんですけど」  昔から遠慮しない弟で、よくけんかしてました。  そんなふうに、珍しく自分の話をしてくれるのは、(仕事)が暇だからだろうか。  それとも、俺に気を遣ってくれているのか。  あるいは、年末年始を一緒に過ごせないということを、彼なりに残念に思ってくれているからなのか……。  どちらにしても、後はもう頷くしかない。  どのみち結果は変わらないんだから。
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