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なかなか眠れず、そこそこ飲んで、翌日、目が覚めると既に時刻は11時を回ったところだった。
いつの間にか年が明けていた。
(酷い気分だ……)
俺は乱れた髪を掻き上げながら、咥えた煙草に火を点ける。
それを口端に添えたまま、見るともなしに窓の外を見遣ると、眩しいほどの青空が目に染みた。
(三日……あと二日か)
たったそれだけの時間がどうしてこんなにも長く感じるのだろう。
逃げるように視線を落とした俺は、数口しか吸っていない煙草を灰皿に押し付け、浴室に向かった。
「……あれ」
しばらくして髪を拭きながらリビングに戻ると、壁に設置されたインターホンに不在通知のランプが灯っていた。
もしかして、という思いが頭を過ると同時に、心臓がどくんと跳ねる。
俺は急くようにパネルを操作して、録画されている相手の姿を映し出した。
宅配業者だった。
「なんだ……」
確認すると、携帯にも不在通知が届いていた。
俺はふう、と息をつきながら、そのままそこに記載されていた番号に電話をかけた。
来てくれて間もないようだから、まだ近くにいるかもしれない。同じマンションで作業している可能性もある。
結果、配達員はまだこの建物から出ておらず、数分後に再配達に来てくれるということになった。
俺は濡れたままの髪を軽く結い上げ、引っかけていたバスローブから適当な部屋着に着替えた。
間もなくインターホンが鳴る。
相手が誰だかは分かっていたから、ろくに画面の確認もせずにドアを開けた。
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