18.夢の続きを【Side:見城将人】

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 そこに立っていたのは、見慣れた制服を着た年配の男性。  そしてその僅か後方に、俺宛ての荷物だろう箱を持って佇むもう一人の男――。 「……え」  見慣れたダウンジャケットに、ラフなジーンズ。首に巻かれた濃いグレーのマフラー。 「……静……?」  無意識に呟いた声は、「ここにサインかハンコをお願いします」という配達員の声に紛れて消えた。  *  *  荷物は明日花(あすか)からだった。  中には数本のワインと、卒業したら継ぐと言っていた酒屋(実家)のスタイルで、楽しそうに笑う明日花(本人)の写真入りの年賀状が入っていた。  そしてその荷物を、配達員の代わりに抱えていた――行き先が同じだと知って自ら申し出たらしい――のは、紛れもなく静だった。 「えっと……」  想定外の事態に自分で思うより動揺していた。  とりあえず荷物と共にリビングに通したはいいけれど、何から聞けばいいのか言葉に迷う。  すると静が小さく息をつき、 「……風呂、入ってたんですか?」  ちらりと俺の髪を見た。  俺は「え」と声を漏らす。  適当に着替えは済ませていたものの、見るからに風呂上がりの様相には変わりない。乾かす前だった髪先は、いまだ水気を含んで束になっていた。 「あぁ……実は朝まで飲んでて」 「朝まで」 「あ、いや、ここでね。一人で」  髪をほどきながら継いだ言葉が、どこか言い訳めいたものになる。  けれども静はそれに応えることなく、ただテーブルの上へと視線を移す。そこには飲みかけのワインの瓶と、食べかけの軽食(スナック)、煙草の吸い殻が山のようになった灰皿が置かれたままだった。
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