18.夢の続きを【Side:見城将人】

15/16

199人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
「……そう、ですかね」 「もっと甘えてくれたらいいのにって、ずっと思ってたよ」 「…………なんで、俺がアンタに……」  並んで寝転がり、二人で同じ天井を見上げていた。僅かに上擦ったその声に横目に目を遣ると、静の目端が淡く染まっているように見えた。 (……可愛い)  間接照明のせいかもしれないと思いながらも、俺は「ごめん」と呟き、再び静へと手を伸ばす。  そしてまた、当たり前みたいに彼を組み敷いた。 「……そんなにしなくても、俺は逃げねぇよ……っ」  何度となく耳にした言葉が、今夜は酷く甘く聞こえる。  以前はもっと、どこか自棄になっているようでもあったそれが、嘘みたいに表情を変えている。  俺のことをちゃんと受け入れてくれているのだとわかる。  ……そう、きっと静は、俺のことが好きだ。  直接確かめることはできないけれど、そう思えば思うほど、ますます気持ちが止められなくなる。  その翌日も、そのまた翌日もずっと似たような過ごし方をした。静からもらった限られた3日間を、彼は俺のしたいようにさせてくれた。  昼となく夜となくワインを飲んで、飲ませて、食事は自炊かデリバリー。  俺が好きに触れても彼が本気で拒絶することはなく、時に他愛もない話をして、笑って、寝て、寝ていても構わず身体を繋げたりもした。  そうすることで、俺は確かめたかったのかもしれない。君も俺と同じ気持ちだと、はっきりさせたかったのだ。  俺は〝いま〟、俺はこの上なく幸せだよって。  君もそうだよねって。 「……ねぇ、静」  そんな中、口を突いた言葉は。
/234ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加