20.Epilogue

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 そこは、時折彼と共に立ち寄っていた――もっと言えば、彼が学生の時にバイトをしていた、アリアと言う名のファミレスだった。 (この席にも、よく座ったなぁ………)  テーブルの並びも、恐らくは以前のままだ。  喫煙席それぞれに備え付けられた空気清浄機や、内装や家具など、こまかいところに変更はあるようだが、全体的な印象は三年前までのものとそう変わらない。  何気なくテーブルの上に指先を滑らせると、ちょうど店員の一人が注文を取りに来てくれた。成人男性としては少々小柄で、あどけない笑顔が可愛らしいその彼に、俺は一杯のコーヒーを頼んだ。  時刻は平日の昼下がり――。  それもまた俺がよく立ち寄っていた、比較的客の少ない時間帯だった。 「少々お待ちください」  会釈を残して去って行ったその背を笑顔で見送り、ついでのように店内を一望する。  そうして無意識に確認してしまう。過日のように、そこに君の姿がありはしないかと。 (……いるわけないか)  俺は苦笑しながら手元へと目を戻す。  ……期待するだけ無駄なのは分かっていた。
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