20.Epilogue

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(……可愛い)  改めて思った。  俺はやっぱり君が好きだ。  君を思いながら誰かを抱いても、満たされることなんてないのは当たり前だった。  静はその日、それきりホールには出てきてくれなかった。  俺はいつかのように二杯目のコーヒーを注文し、それを飲み干してから店を出た。  残念ながら、その日は会計を頼むことすらできなかった。  ……だけどさ。  だけどそれって……もしかしたらそれくらい俺を意識してくれたってことかもしれないよね。  もちろん仕事上の都合かもしれないし……っていうか、普通に考えればその可能性の方が高いんだろうけど。  でももし、本当に君が、私情で俺を避けたのだとしたら。  それはそれで嬉しいだなんて――わざわざ来たかいがあっただなんて、そんなふうに感じてしまう俺は、案外強かな性格をしているのかもしれない。  だからって、それを今更だなんて思わないで欲しいな。  ――ふれても、抱いても、キスしても。  最後まで君に届けられなかったこの想いを。  今度こそ伝えようと思ったのは、たった〝いま〟のことなんだから。  END
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