程々が良い

牛子

　そこで或る日、俺はこう持ち掛けてみた。
「おい、牛子。少しは牛肉止めて代わりに野菜を摂ったらどうなんだ」
「あたしの健康を気遣ってくれてるの？」
「うん、それもあるけど、経済的に苦しくてな」
「じゃあ、ステーキを減らして、その分、ハンバーガーにするわ。それなら野菜も摂れるし安くつくじゃない！」
「いや、ハンバーガーに付いて来る野菜なんて微々たるもんだろ！」
「何よ、こんなに譲歩してるのに煩いわねえ！めんどくさい男だわ！」
「いやいや、あのねえ、ハンバーガーは温室効果ガス排出の最強打者なんだからねえ」
「えっ！何それ！何それ！何それ！どういうこと？」
「だからね、ハンバーガーの主役である牛肉を加工する畜産は車の排気ガスよりももっと厄介な温室効果ガスを大量に排出してしまうんだよ！」
「だから何よ！」
「いや、だからね、ハンバーガーを求めることは地球温暖化を促進することになっちゃうんだよ」
「そんなこと言ったって好きなもんはしょうがないじゃない！あたし一人がハンバーガーの量を減らした所でどうなるって言うのよ！」
「いやいや、そういう考え方がいけないのであってだねえ、一人一人が牛肉摂取量を減らして、その分、野菜を摂取しようと心掛けることが大事なんだよ」
「ふん、そんなこと言ったって、あたし、根っからの牛肉好きなんだもん！どうしようもないわ！」