菜子

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「つまりですね、私、ベジタリアンなんですの」 「ほう、つまり、肉食じゃなくて草食というわけですか?」 「はい、そうとも言えますわね」 「では精進潔斎という言葉をご存知ですか?」 「ええ、勿論、存じております。私、実践してますもの」 「ほう、それは素晴らしい。では清貧にお暮しなんですね」 「ええ、清貧かどうかは分かりませんが、慎ましく暮らしている積もりでございます」 「ほう、それは結構なことです」と俺は言うと、自ずと菜子と見つめ合う仕儀になった。  その内、「どうです、お気に召しまして?」と不意に問われた俺は、何という唐突な展開で何というアグレッシブな女だと思いつつその笑顔が満更でもないし、俺に寄ってくるなんて見上げた女だと思って、「う、うん」と頷くしかなかった。  という訳で俺は幸か不幸か菜子と付き合うことになり、あんまり自分に厳しくてはいけないよ!程々が良いよ!とアドバイスしてやると、より付き合いやすくなり仲がしっくりと来るのだった。
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