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「ここでは言いたくないです‥‥‥」
「どうし‥‥‥あぁ!そうだよね‥‥‥ごめんっ!」
「きゃあ!」
「ごめんね?移動する」
私の気持ちが通じたのかアリス王子は私をそのまま抱き上げて来た道を戻って行く
嘘?言いたくない理由わかったの?
私は言いたくないしか言ってないよ?
アリス王子の歩く速度は私を抱えてると云うのに来た時より速い
あっという間に後宮を出てしまい少し前に案内して貰った礼拝堂に着いた
「アリス王子下ろして?」
「大丈夫、扉開けてくれる?」
さっきと同じ様に扉の前に居る人に声を掛けると両扉が開かれる
片方だけでも大丈夫なのにそんな結婚式みたいに開けなくても‥‥‥
「王子閉めて宜しいでしょうか?」
「うん」
「失礼します!」
アリス王子が前に進むとゆっくりと薄暗くなる。後ろの扉は閉められてしまったようだ
勿論誰も居ないけどさっきとは結構対照的な場所かも知れない
沢山の女性が暮らす後宮と祈りを捧げる礼拝堂‥‥‥前を向けはマリア様の像が見えた
「結構暗くなっちゃったけど窓からの光りが入って綺麗だね」
外の日差しには負けるが沢山のステンドグラスが優しい光を射し込んでる
扉が閉まった直後は薄暗く感じたけど今はアリス王子の顔もちゃんと認識出来る
それと同時に自分の状況も把握すると恥ずかしくなる
「いい加減下ろして下さい」
「大丈夫なのに」
「私が大丈夫じゃないんですっ!」
抵抗するように足を少し動かすと笑いながらアリス王子はたくさん並ぶ長椅子に腰掛けた
それによってアリス王子の重さは軽減出来た、良かった‥‥‥とはならないから!
「アリス王子」
「さっきはごめんね?あんな所で」
「‥‥‥‥‥‥」
「でも気付かせてくれて良かった‥‥‥白雪さんと居るといつも周りの空気とか感情に敏感だと誉められてた性格も役に立たないなぁ」
アリス王子は物事をいつも客観的に判断出来てとても優秀な王子様だと聞いてる
確かに執務室での仕事は早いし指示する時も的確だなぁってぼんやり見てたけど
「その性格は‥‥‥誉められても嬉しくなくないですか?」
空気が読めるって大切だけど、ずっと気を張ってるって事でもあるし我儘な事を出来ないし行動も出来ない
「そうだね王子としては良い事なんだけど。でも白雪さんの前では機能しない。現に立場を使って色んな所の門番を困らせてる」
「それは私が‥‥‥」
「僕が案内したくてしてる事、扉だって自分で開けようと思えば出来るんだ‥‥‥でも一瞬でも掴まってくれてる腕が離れてくのが嫌だから」
「‥‥‥‥‥‥‥‥っ‥!」
額にかかる前髪を横に流してそのまま髪を一房持ち上げてキスされる
私の身体はアリス王子の腕の中でギュと背中を寄せられるとまた胸元に顔が近付く
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