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「場所‥‥‥嫌だって言ってごめんなさい」
「ううん、嬉しいよ?するのが嫌じゃなくて。その返事が嬉しかった‥‥‥この場所は?」
目の前には優しい微笑みの王子様
場所は文句なんて言えないくらいメルヘン好きには堪らないステンドグラスいっぱいの礼拝堂‥‥‥ここで結婚式を上げる人も向こうではいるくらい
「好きですよ?」
「白雪さんはキラキラしたの好きですもんね」
「それって‥‥‥子供みたいに言わないで下さい」
「ごめんごめん悪い意味じゃなくて純粋にだよ、宝石じゃなくてもキラキラした硝子も同じ様に好きでしょ?」
「それは確かに」
こんなガラクタの指輪をいくら値段が安いと言っても買ってしまう人間だ
しかもいい社会人が
「そういう純真な所も好きです」
「ありがとうございます?」
褒められてるのかどうかわからないけど笑顔のアリス王子を見てると悪い意味じゃなさそうで嬉しくなる
「この場所は好き‥‥‥じゃあ僕は?僕の事は好き?」
「あ‥‥‥あの遅くなっちゃったけどあの時‥‥再会した時に感じた胸の痛みは『見つけた』って感じた様な気がしたんです‥‥‥でも手を取るのを戸惑ってしまって‥‥‥あの何言ってるんだろ?私‥‥‥」
「うん、僕も見つけたって思ったよ、やっと見つけたって」
「私‥‥‥アリス王子を好きみたい。でも!でもね?私‥‥‥っ!」
言葉にすればストンと何かが収まるような気持ちでスッキリしたと同時に思い出す事
私は後一回向こうの世界に戻る
それがいつかわからないしちゃんと戻って来られるか不安な事を伝えようとした瞬間、唇が触れ合ってた
柔らかいのはどちらの唇かわからないけどその気持ちよさに思わず目を閉じてしまう
一瞬離れたと思ったらまたキスされて‥‥‥最初よりも強く重ねられて離れた
「あの‥‥‥いきなりじゃないですか」
声が少し弱々しくなってしまうのが情けないけどいきなり二回もされるなんて思わないでしょ?
「白雪さんの口から僕が好きなんて聞いたら我慢出来ないよ、軽くだった事を褒めて欲しいな」
「二回したのに‥‥‥?」
「だって本当はもっと深くしたいんだよ?」
そんな笑顔で言われると何も言えなくちゃうじゃん‥‥‥顔を胸に埋めると優しく頭を撫でてくれる
「もう‥‥‥どこが紳士で一途で少し気弱な王子様よ」
「ん?」
「何でもない‥‥‥近い」
「まだ全然」
顔を上げるとアリス王子のサラサラの前髪が私の額に当たる
そのまま目を閉じると優しくチュッとキスをしてくれた
話さないといけない事は沢山あるし不安もあるけど‥‥‥今はこの腕の中に居たい
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