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アリスside
「‥‥‥もぅ‥‥‥王子っば!」
「ぁ‥うん‥‥ごめん」
苦しそうに両肩を叩かれるけどそんな抵抗も可愛くて仕方ない
でもあんまり求めると嫌われちゃうかも知れないから名残り惜しいけど唇を離す
普段から艶のある唇が僕達の唾液で余計に輝いてる
思わずその唇を舐めてしまう
「もう!」
「だって美味しそうなんだもの‥‥‥実際美味しいんだけど」
「‥‥‥っ!」
耳元で囁くと胸元をドンドン叩かれた
「大丈夫だよ」
「何がですか‥‥‥」
「白雪さんが向こうに戻って帰って来なかったら僕が迎えに行くから」
想いが通じただけじゃ終わらせない
「でも‥‥‥アリス王子はもう向こうには行けないじゃないですか」
「執着がないからね。今のこの世界には僕の大好きな人が居る、恋愛としてのね?」
そう言って自分の額と白雪さんの額をくっ付ける
「白雪さんが居なくなったら僕はきっとまた向こうに行ける」
それは絶対の確信がある
三宮有栖はこの世界に来たがってる様な気がするから
夢で問い掛けられる事があるんだ
『どうしてだ?』
『どうして此方に来ないんだ』
『何か未練が出来たのか』
あの声は三宮有栖
僕と同じ声だけど僕が向こうに行きたい気持ちは今はないからきっと彼だ
「連れ戻しに来てくれる?」
「勿論、お姫様は何処に行っても探し出してみせるよ」
「来たら同じ会社なんだから直ぐに見つかるじゃない」
「えぇ~結構素敵な台詞だと思うのに現実的な事言わないでよ」
「確かに‥‥‥ふふ、そうだね。世界を行来してるのに現実的ってなんか変なの」
「白雪さん」
「ん?」
「帰りたくないなって」
「え‥‥‥」
相変わらず額をくっ付けたままの僕達の距離は近い
このまま自分の物にしたくなる‥‥‥なんて言ったら怖がられるかな?
でも僕もちょっと自分が怖い
こんなに積極的な自分が
女の人が苦手だった過去の自分が見たら軽蔑するかも知れない
「嘘だよ、本当だけど」
「え?」
「どっちも本当‥‥‥ただ凄く大切にしたいから今は帰るね」
「アリス王子‥‥‥」
チュッと軽く頬に口付けから身体を離す
これ以上一緒に居たら駄目だって警告を自分で鳴らす
「明日に予定を組むから白雪さんは自由に過ごしてて良いからね」
「え?ダンスないの?」
「それはあると思うけど終わったら自由かな‥‥もしかしたら母上に何処かに連れていかれるかも」
「それは‥‥‥」
「僕の所に来ても良いと言いたいけど執務室には居ない可能性高いんだ」
「そうなんだ‥‥」
「‥‥‥そんな顔されると困るなぁ」
「ごめんなさい!」
「違うよ、離してあげられなくなる」
そんな小犬みたいな顔されるとあの元老院の爺様達の中に連れて行きたくないけど心が折れそう
「大丈夫!ゆっくり大人しく過ごしてるから」
「うん‥‥‥明日の夜には逢おうね」
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