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「すみませーん、大丈夫ですか?」
本当に距離近いから起きてれば聞こえるだろう大きさで話し掛けてみるとガサっと木が揺れる数枚の葉が落ちていく
生きてた‥‥‥最悪そのケースもあったかと木が揺れたと同時に安堵してしまう
後は体調だけを聞いてみるか
例え庭師じゃなくても城の中に居る人間だもの休憩してたり‥‥‥もしかしたらサボりかも知れないけどそれなら関与しない方が彼の為だ
「あの、体調とか具合が悪いとかではないですか?」
「‥‥‥‥‥‥」
「あの、別に誰かに告口とかするつもりな‥‥‥わっ‥‥‥嘘?!!」
声を掛けてるといきなり木々の間から何かが飛び出して来てバルコニー降り立った
自分の手の横にさっきの踵が高いブーツが見えてそのまま顔を上げると青年が立ってる
は?何?
容態だけ聞きたかったのに‥‥‥いや、それよりもだよっ!何‥‥‥今の忍者みたいな動き!
と言うか高さ!!三メートルくらいはある筈なんだけど‥‥‥しかもこんな幅のない所に両足で立ってるってどんな体幹の持ち主なの?!
「入るぞ」
「‥‥‥‥‥‥」
「お前も入れ」
「ちょ!!触らないで!」
「じゃあ早く入れ。声を掛けて来たのはそっちだ」
そう言って私をバルコニーに残して青年は当たり前の様に部屋に入って行く
お前も入れって一応この部屋は私の部屋なんですけど?勿論家賃なんて払ってないけど許可貰ってる
声を掛けたって‥‥‥別にナンパしたわけじゃないんですけど!?
当たり前の様にソファーに腰掛ける青年を放置する訳にも行かず自分の意思(ここ大事)
で部屋の中に戻る
「‥‥‥‥‥‥あの」
「何?まさか本当に男を欲して呼んだのか?」
「はぁ!?何言ってるのよ!私は変な格好で動かないから大丈夫かなって人命の為に声掛けたのよ!勝手にナンパしたとか思わないでよ!それにっ!部屋に勝手に入ったのはそっちじゃない!」
部屋に勝手に入って勝手に座って‥‥‥勝手にナンパ扱い
冗談じゃない!それともこうやって声を掛けるのが基本なの?でもここはお城だよ?海外の映画で娼婦に道端で声を掛けるとかよく観たけどさ‥‥‥ん?いや、この人は男だから男娼?
「大きな声を出すな、誰か来るぞ」
「来て困るのはそっちじゃないの?」
「城の姫様が男を買ったと知られて良いのか?」
青年が扉の方に目をやるも全くビビった風には見えない。
今、ここで叫べば控えてる侍女達が入って来るかも知れないけど私に「買われた」とか言ったらどうしよう‥‥‥と思うと叫べない
「あのね‥‥‥それも違うし姫でもない‥‥‥私なんて‥‥‥」
ただの異世界駄目人間と言いそうになり手で口を覆う
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