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いつもはレッスンに戻ると直ぐに再開するんだけど今日は違った
何が違うと言うと隣に王子が居るからだ
「あら!まぁまぁ二人揃ってくるなんて!」
「母上声が相変わらず大きいよ」
「もうっ!アリスってばそれなら別にゆっくり寛いでて良かったのに」
「僕も一緒に練習しようと思って来たんだよ」
アリス王子のお母様は声が大きい
最初に会った時は息子の体調が優れなくて欠航儚げな印象だったのにアリス王子が眠りっぱなしにならなくなった‥‥と言うより私という存在に目をつけてから印象が変わった。
しかもなんというか喋り方が独特と言うか芝居掛かってて業とらしいんだよね、うん。
良い人だとは思うんだけどレッスンは厳しいし私事も婚約者前提だし。
「そうなの?でも‥‥それはまだ無理だわ」
「どうして?」
「それは‥‥‥」
「アリス王子っ!私まだ全く上手くないんです!だからもうちょっと自主連した方が良いですよね~后様」
やっぱりだ
思ってた通り私は下手だ
それは自分でも感じていた。だからよくアリス王子の執務室に逃げ込んでたんだ
后は結構ストレートに言うタイプだから自分から自爆した方が身の為だ
「そうなの?だとしたら余計に一緒に踊った方が良くない?当日、君が一緒に踊るのは僕だけなんだから」
「え?」
「踊りを完璧に覚えなくていいんだよ、僕が君の癖を覚えれば上手く補えるからね」
「まぁ!アリスってば!」
私の手を取り何やら伴奏に合図を送ると曲が流れる
え?!
これって一緒に踊る系なの?!
「ちょっとアリス王子!」
「大丈夫、僕の動きに合わせれば大丈夫だから」
「足踏んじゃうかも知れない」
「良いよ君なら」
そんな爽やかな笑顔で微笑まないで欲しい
流れてきた音楽はいつも練習してる曲でアリス王子が動くと私も仕方なく動く
ゆっくりな曲だから間違ってもアリス王子がちゃんとカバーしてくれる
おお!私、踊れてる?
アリス王子のリードのお陰なのはあるけどちゃんと転ばないで踊れてる事に嬉しくなると少し身体が密着する
「ねぇ…白雪さん」
「なんですか?」
正直今は話し掛けないで欲しい
「母上の前で本当の名前で呼んでもいいかな?」
そう言えば此処に来た時は私は白雪姫と同じ名前が紛らわしくてずっと名字の小石川の『コイ』って名乗ってた
白雪姫の世界に来たと思ったから名乗ると絶対にヤヤコしいから七人の小人にも名乗らなかった。
でもアリス王子は元の世界の小石川白雪って人間を知ってるから二人だけの時だけ名前で呼んでくれてたんだよね。
「それは‥‥‥」
「駄目?」
「駄目じゃないけどシンデレラが‥‥‥」
「僕の姫は白雪姫がいいな」
「‥‥‥‥‥‥」
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