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アリスside
秘書課の小石川白雪さん
僕は彼女と資料室で出会ってから気になってしまいその姿を見る度に胸の奥が痛くなる。
『それ読んでたんですか?』
『え?あ‥‥‥すみません』
『いえ、男の人でも読んでると何か嬉しいです、童話好きからしたら』
嬉しそうに微笑んだ姿に目が離せなくなって思わず立ち去る時に胸の社員証を確認してしまってた
動悸が激しくて暫く動けなくて自分が信じられない
まさかこの僕が一目惚れをするなんて
それからは異世界に行くのが楽しくなった
元から王子という責務から逃れたかったからこっちの生活は新鮮だったけど好きな相手が出来たらそれは何倍にもなる
異世界に行けば小石川さんに会えるから
彼女は客観的に見ても凄く人気があるらしく何人も告白しては振られてると同僚に聞いた。
「三宮、お前モテるんだから声掛けて見ろよ」
「え?」
「止めとけよコイツそっち方面には全く興味ねーから。仕事終わったら直ぐにご帰宅だもんな」
「うわーもったいねー!俺がお前の顔だったら遊びまくるけどな」
三宮有栖はあまり人と関わり合う事を嫌ってるようで会社でも日常でも友人という友はいない。
僕もそんなに居る方じゃないけどこの世界には身分とか厳しくないんだからもっと友達を作れば良いのに。
でもそのお陰で僕と彼が入れ替わっても気付かれないから結果的には善かったのかも
告白かぁ‥‥‥そんな事考えた事もなかった。
そもそもこっちの世界の人間ではないから彼女とどうこうなりたいなんて思ってなくて、ただ見つめてるだけで嬉しい気持ちになるのが幸せだった
今はと言うかどうやらずっと彼氏が居ないと言う事を同僚に教えられて吃驚したくらい、あんなに綺麗なのに。それに性格も優しいのは知ってる。
資料室で童話の話をする彼女はとても可愛くて‥‥‥
「でも告白なんて出来ないよ‥‥‥‥」
必要最低限の物しか置いてない三宮有栖の部屋のベットで横になりながら考える
世界が違う
初めて好きになった相手は住んでる世界が違うから‥‥‥‥どんなに想っても叶わない
そう考えるとまた胸が痛くなるけどこの痛みは嬉しくない痛み
僕の運命のお姫様は彼女じゃないと物語で読んでしまった
シンデレラと言う女の子が僕の運命の相手で小石川さんじゃない
「‥‥‥‥‥‥‥‥辛いな」
この世界には後どれくらい来れるのだろう?
後何回逢えるんだろう?
彼女は一体誰と結ばれるのだろう?
「告白くらいしときたいな‥‥‥‥」
考えれば考える程どうしようもないって答えしか出て来なくてそうすると更に想いが募る
告白なんてしないと決めてたのに想いだけでも伝えたいと思う様になってた
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