影 鬼  《中》

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 翌朝というより早朝に近い時間の中で一人妙な違和感を感じていた洋輔が目を覚ました。 彼の寝巻きはいつでも動けるように着替えられるように半袖のTシャツに黒のスウェットを穿いていた。 そして、この不安と言えるような恐怖の原因は何処なのか探るために屋敷の中を探索した。 最初に入ったのは兄弟が眠る寝室に入ってみた。 昨日、あの神社であの兄弟はヤツの干渉をしてきた事を思い返していた。 (僕を捉えることが出来なかったから今度は……大事な家族に……) そう思い耽っていたらいつの間にか部屋に辿り着いていた。  一度、深呼吸してから二人が起きないようにソォッと障子を開けたら蚊帳(かや)があった。  蚊帳というのは窓開けたりしても蚊帳の中に居れば蚊に刺されないと言う代物だ。 話を戻して、その中で布団が二組敷いてあるが障子の前で寝てるのは長男の影蠹(かげと)が余程暑かったのか薄い布団を蹴り飛ばした寝相になっていた。 それを見て何も変化ないと見て、さらに視線を上げれば縁側に近い所には弟の霧蠧(きりと)が寝てる筈なのに、その人は何処にもいなかった。 それを見て顔色が青くなりつい蚊帳の中に入るが足音を立ててしまい、影蠹を起こしてしまったがそれも通り越して霧蠹の布団に手を当てた。 「まだ温かい…」とまだ時間がそれほど経っていないことを指していた。 「どうした?父さん?」と微睡みながら右目を手で擦りながら訪ねると、開いている左目で事態を目の当たりし理解してしまった。 「まさか……霧蠧が!!」って言って何も答えない父親。 「父さん、準備してくるから霧蠹を捜してくれ!」と影蠹に頼み込んでから立ち上がりその場から立ち去った。  一人残された影蠹は言われた通り霧蠹を捜すために身支度を素早く整え何かある分からないから旅行バックに忍ばせておいたカッターナイフをポケットにしまってから靴を履いて探索に乗り出した。 (まさか……)と思い出したのは先程の神社だった。 そして、彼は人一倍メンタルが弱いからつけこまれた可能性があると考え勝手口の方から行くことにした。 そして、あることに気づいた。 「灯籠の火が消えている…それも…」 彼が言おうとしているのは自分の屋敷以外の火は消えていないのに対してここの神社への近道となる道だけが全部消えていた。 だが今は早朝だからある程度明るいため少し影が出来る程度の時間帯だ。 彼の場合はもっと早く連れてかれたのだろう。  それで、影蠹は急いで神社の元へ走っていった。
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