原子、少女、闇

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どこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこだどこ ......お願い......出てきて......殺さないと。 集落を全滅させてから1年半が過ぎた頃、少女はついに悟った。 魔を生み出しているのは、自分であると。 自分は人間であるが故に、闇を拭う事は出来ないのだと。人間が自然と完璧に調和する事は出来ないと。自分だけがこの自然の中で、異物なのだと。 言葉を覚え、望んでもいない知能を宿したその時から、少女はどうしようもなく人間だった。少女は憎しみや嫉妬、羞恥といった感情を知ってしまっているのだ。それらは闇の源になる。 だけど私は、人間が自然と完璧に調和する方法をたったひとつ知っている。 少女は腰に差した小刀を抜き、地に跪く。そして空を仰ぐと、鳥達が群れを成して飛んでいるのが見えた。彼らはどこまでもありのままで、自然だ。そして愛おしい。魔物からあの美しい生命を守るためなら、少女は死ぬ事に異議はない。 少女は僅かに躊躇いはしたが、自らの首筋の頸を一思いに切り裂いた。刃が皮膚を、肉を血管を切り裂く。少女は絶叫し、体に血液が回らなくなり、やがて跪いた両膝が上半身を支えきれず前のめりに倒れ込んでしまった。 痛みすら朦朧とした意識の中で、少女は悲願の時を待つ。生命の終わり。自身の心の鬼を殺す刻。 ああ......これでようやく私は...... 自然と調和できる。
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