附子

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「小国なのに、海戦では我が軍をもってしても五分の戦いをするという話だ。  なぜ、(いにしえ)の帝は国交を結ばなかったのであろうか」  次は秀零が悩む番だった。  『鷹』を養成する所で国の歴史を学ぶこともあったが、かなりの部分で伏せられた内容だと感じていた。実際余暉も同じように思っていたようで『神聖化することで暗部を隠す。(まつりごと)の常套手段だな』などと、ぼやいていたのを耳にしたことがあった。  その政の核心にいる香霧がわからないなら、秀零に知りうるわけがない。それでも何らかの情報を得たそうな香霧の為に、余暉なら言いそうなことを考えてみた。 「島国ですので独立心が強く、海戦の技術にも自信があるから、我が国と手を結ぶことを考えなかったのではないでしょうか」 「うむ。まぁ、そのあたりだな。  それにしても、本来は……配下に入れておきたいが」 「海の民は気が強いので配下にとなると、難しいかもしれません」 「ならばますます手に入れたい。  国内外に力を示すために、強き者を手中に納めたいではないか」
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