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「時が経ち、唐達帝國は益々大きく富める国となった。いくら我らの独立が守られているとはいえ、富める国と国交がないままなのは良くないというのが最近の伊乃国の思い。そこで、たまたま拾ったお主を使って対等な立場を保ったまま国交を結ぼうと考えておるというわけだ」
真っすぐに見据え、杏に強い決意を見せつけるマナカ。杏は自分を使ってそのような話し合いをされることに困惑を通り越して恐ろしさを感じた。自分の存在が唐達帝國や香霧に不利益になるのは何としても避けたかった。
「私にはそのような価値はございません……」
マナカより先にユキシが笑いだした。
「自分で皇子の妃だと言ったのに、弱気なことだな。
大事にされてないということか」
「そうではございません!」
思わず言い返してしまったが、杏はしまったと口を噤む。
「その言葉信じてみよう。
ぜひ、その大事にされている効力を発揮して欲しいものだな」
満足そうに笑ってマナカは再び酒を口に運び始めていた。
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