第13交差点 未知の鼓動

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第13交差点 未知の鼓動

 気づけばもう、本格的な冬に差し掛かっていた。  カラカラン♪  久しぶりに【喫茶KOUJI】の扉を開ける。 「勇実(いさみ)ちゃん! いらっしゃい。やっと来たね」  マスターが顔を綻ばせながら私に駆け寄ってきた。 「へへ…お久しぶりです」 「お父さんから話は聞いたよ…ここまで、頑張ったネ」 「うん…もう、大丈夫だよ。これからまた、お世話になります」 「ウン、ウン。さ、勇実(いさみ)ちゃんおかえりモーニング作るから、ちょっと待っててネ」  そう言ってマスターは、カウンターの奥へ戻っていった。  入ってすぐの所で、ぐるりと店内を見回す。マスターのコーヒーの香りが漂う、やっぱりここが好き。  樹深(たつみ)くんは…いない。 「樹深(たつみ)くん、まだ来てないの?」 「ウン。最近はね、遅く来るよ。なんかやる事あるんだって」 「へぇ…」  樹深(たつみ)くんとずっと話していない。あの夜を除いて、まともに会話したのは…もうひと月以上前。  早く、ありがとうって言いたい。  ドクドク。あれ…何故か、心臓が速く脈打つ。  カラカラン♪  私のすぐ後ろで、扉が勢いよく開いた。  ビックリして振り向くと、樹深(たつみ)くんが入ってくるところだった。 「あーっ、イッサ。来れたんだね。おはよ」 「え、あ、うん、おはよ」  樹深(たつみ)くんと目を合わせて言葉を発するの、すごく久しぶり。  ドクドクドク。 「なんで、こんな所で突っ立ってるの? 座んないの?」 「え、あー、うん。そーですね…」 「えー? イッサ、どーした? ヘンなの。ほら、早くそっち行って」 「……」  ケラケラ笑いながら、私の背中を樹深(たつみ)くんが両手で押す。  やだ、なんか、熱い。 「おはようございまーす。モーニング、俺にもお願いします」  そう言いながら、樹深(たつみ)くんは私の肩に手を置いて、カウンター席に座らせた。  ドクドクドクドク。  …あれ。  …あれ。  …あれ。  どうしたんだろう、私。  樹深(たつみ)くんと…うまく話せない。 …
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