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昨夜、妻が家を出た。
娘と猫も一緒に出ていった。
俺は出ていくときの妻と娘の目を一生忘れないだろう。
まるで外宇宙から来た遊星人でも見るかのような、あの目を……。
泣きたかった。でも涙すら出なかった。
*
静まり返ったダイニングでの夕飯は味気ないものだった。
大好きなレトルトの辛口カレーを食べたが、なんだか泥でも食べているように味気なかった。俺は、ふと泥など食べたこともないのに、なぜそんな形容をしてしまったのかと、自分の知ったかぶりを自嘲した。しかし掠れた笑い声さえ出なかった。
疲れた。ほとほと疲れ果てた。
寝室に入った俺はベッドに突っ伏すと、ほどなく眠りに落ちた。
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