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「遅くなってすいません。」
懇談会のメンバーの中では唯一まともな第二中学の凡倉先生が遅れて入ってきた。ただ一つまともでないことは、頭の形がかぼちゃのようであることだった。その頭はそうとう重いらしく、凡倉はふらふらと、あっちに倒れそうだった。魚木先生の二の舞になっては困るので、なるべく手を触れないよう気をつけながら言った。
「遅いじゃないですか、凡倉先生!」
凡倉は申し訳なさそうに頭を掻いた。
「いえ、実は息子のためにカボチャスープを作っておりましたら時間の経つのも忘れてしまいまして・・・。」
「・・・・・・。」
私は未だかつてこのような類の言い訳を聞いたことがなかった。対処に困っていると凡倉先生がタッパを取り出した。
「お詫びと言っては何ですがミートローフを持って参りました。皆さんで召し上がって下さい。」
「これはお気遣いをいただいてしまい、かえって申し訳ありません。」
私は内心パンプキンパイではないことにホットした。しかし、彼もやはり普通の人ではないようだった。
「これで全員揃いましたかな?」
教頭、私、沼岸、足軽、野武士、凡倉、そしてロッカーの中の魚木。どうすればこんなにろくでもない人間が揃うのだろうか。
一同は着席し、足軽は皆にシャンパンを注いで歩いた。ひょいひょいと、私のところに来た足軽がそっと耳打ちする。
「イヤ、あれでござんすね。凡倉の頭は誠にドテカボチャのようでがんすな。なっ、っ?」
私は非常に不愉快であったが、軽く会釈してやりすごした。足軽は、今度は野武士のところに行って何事か耳打ちしていたが、
「不愉快な!ぶっ飛ばすぞ!」
と怒られていた。いい気味である。
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