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2:歩かない子
私は歩かない子だった。
一般的な赤ちゃんは10ヶ月頃までにはハイハイを初め、1歳頃になると歩き始める子が多いそうだ。
しかし私は1歳を過ぎても歩くどころか、ハイハイすらしなかった。1歳の検診の際、なにか病気等引っかかったこともなく、元気ならいいか、いずれ歩くだろうと母も気にしていなかったらしい。
しかし、1歳半になっても歩こうとしない私に、さすがの母も心配になってきたらしい。
当時の私はと言うと、足を開いて座った状態で、手を使い、器用に移動していたらしい。
もしかすると、足が悪いのではないかと母が病院に行ったところ、医師から言われたのは、
「個性ですね。足に問題は一切ありません。きっと歩くのめんどくさいんでしょうね」
という言葉だった。唖然とする母、笑う医師。
要するに私は生まれた時からの面倒くさがりでぐうたらだったのである。
歩くというのは面倒くさいが、座ってずりずりと前進するほうが楽だと学んだのだろう。
母もそれから特に気にするようなことは無くなったらしい。
私もなんだかんだ2歳頃までにはちゃんと歩けるようになっていた。
どうやらハイハイ、つかまり立ちをし始めてから歩くまでのスパンはかなり短かったそうだ。
最初で楽した分後でどうにかして取り返そうとしたのだろう。
その様子はさながら夏休み最後の週になって慌てて宿題を終える小学生のようである。
(実際小学生の頃、私はそんな子供だった)
今となっては特に足に何かあるわけでもなく健康に過ごせている。
わざわざ足を開いて座り、手でずりずりと移動していた頃のことはもちろん覚えていないが、正直いってハイハイをした方が進むスピードは早いのではないかと思う。
きっと効率的かどうかなんて赤ん坊に分かるわけはなく、とにかく自分にとって楽に移動できる方法がそれだったに過ぎない。
今同じことが出来るかと言われたら、体が固くなってしまっているので正直できない。
恥ずかしながら足を90度開くのが限界である。
昔は体が柔らかかったはずだと言うのに、どうしてここまで退化してしまったのだろうか。少し無念である。
これから取り返しは効くだろうか。
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