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7:ティッシュで拭いて
私はよく泣く子だった。
(今でも泣き虫なのは変わらない)
前も述べたかもしれないが、
「初めてのもの、ことに対する恐怖」
というのが強かったのである。
これも今でも変わらないが。
それに加えて、
「痛み」に極端に弱かった。
「母親と少しの間でも離れる事」を極端に嫌がった。
こんなことがあったせいで、私は毎日のように泣いていた。
今となっては笑い話なのだが(笑い話だろうか?)私が泣くばかりするせいで、母親は周りから虐待を疑われていたらしい。
それに対しては本当に申し訳なかったと思う。
今となって言えるのは、これからどうなるか分からない恐怖が強くて、それを上手く伝えられず泣いてしまっていたのだということ。
決して母親が嫌いだったとかそういう訳では無いのである。
私は泣く時いつも
「ティッシュで拭いて〜」
と泣いていた。
泣くばかりするから、ティッシュを使いすぎて母親にもったいないと叱られていたが。
人生は経験である。とはよく言ったもので、経験を積むにつれて恐怖というものは少しずつ消えていった。
今でも怖いものはもちろん怖いが。
昔(幼児の頃)はお風呂に入ることですら怖かったのだが、今は全く怖くないし、顔が濡れても泣きはしない。
なぜなら濡れても平気、怖くないという経験を積んだからである。
大丈夫、できる、ということを繰り返していくことで、私の場合はそれが強さに変わっていった。
そして、経験を積むことで恐怖から慣れに変わっていったのである。
年齢を出したくないのでぼかすが、義務教育済みの今ですら正直怖いことはまだある。
この年齢で? と思われるかもしれないが、やはり未知のことは怖いのである。
元々生まれ持った性分なのできっとこれは変わることは無いと思う。
昨年末、初めて1人で東京に行った。
どうしても1人で行かなければならない用事が出来てしまったためである。
(遊びで言った訳では無いというのが余計きつい)
父や母についてきてもらいたかったが、それも叶わなかった。
1人で新幹線に乗り、東京に行き、新宿まで行くというミッション。
もちろん未知の領域、初めての事ばかり……。怖い、怖すぎる。
そのため少しでも恐怖を経験に変えようと何度も何度も地図アプリを開いて検索をかけたり、乗換案内のサイトを見ていた。頭の中で何度も新幹線に乗るシミュレーションした。
そしてやってきた当日。
早起きをして新幹線に乗った。
新幹線には何度か乗ったことがあったので、特に手こずることは無かった。
しかし、しばらくすると恐怖の波が私を襲ってきた。
「どうしよう」
「怖い」
「誰か助けて」
完全に飲まれてしまった。
(そしてそんな時は決まって体調が悪くなるのである。)
しかし、お守りに、と持ってきておいた人形を抱きしめ、大好きな曲をイヤホンで大音量で聴くことでなんとか乗り越えることが出来た。
案ずるより産むが易しで、実際に東京についてみると、迷わず目的地まで行くことが出来た。
これでひとつ経験となり、1人で東京へ行ける、大丈夫と思えた。
(実際この1週間後に再び東京に行かなければならない用事が出来てしまったが、なんとか対応できた)
何でこんなに怖がっているかと言うと、もちろん生まれ持ったものもあるし、持病があるためでもある。
持病の発作が出てしまったら、1人で対処するのは厳しいから、
「誰かに迷惑かけないだろうか?」
「もし私が倒れたらどうしようか」
なんて考えてしまって、それも恐怖になるのである。
病気の話はまたいずれ。
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