296人が本棚に入れています
本棚に追加
舌を滑り込ませて真奥にたどり着く。
もっと、もっと。
そう求めるように千晶は痙攣し佳澄を奥に誘った。
互いの欲望が肌を通して共鳴し、何も考えずに佳澄はただ千晶を貪った。
千晶の喘ぎを聞く度に佳澄は興奮しさらに攻め、それがまた千晶を高揚させる。この繰り返しが続くうちに、とうとう千晶は声を発しなくなった。
佳澄が与える刺激に動きに応じて体をビクビクと震わせるだけだ。
佳澄が気づかないうちに果ててしまったようだ。
目を瞑って力なく横たわり、快楽に身を委ねるだけになった千晶に口付けする。
優しく舐めるように。
唇を離すと、カーテンから射し込む外の光が二人の口から垂れる銀の糸を照らした。
千晶の髪を撫でる。
佳澄としては若干の物足りなさはあった。
長年秘めていた想いを伝えられただけでなく、肌を重ねることまで許されたのだから。
僅かな光に照らされた千晶。
痣が浮いて目立つものの、その姿はとても美しかった。
千晶はもう反応しなくなり、そのうち穏やかな寝息が聞こえてきた。
洗面所から取ってきたタオルで千晶の体に残る汗や液を優しく拭きとる。そして布団をかけて部屋を出た。
そのまま浴室へ。
欲望を体現した佳澄に残されたのはさらに大きな欲望と、それにも劣らない虚しさだった。
最初のコメントを投稿しよう!