愛の呪詛

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愛の呪詛

「佳澄さあ」 大学の昼休み。友人・天城(あまぎ)ほのかと昼食をとっていたときのこと。 「ん?」 「好きな人できた?」 ほのかの唐突な問に佳澄は勢いよく吹き出しそうになった。 「えっと·····なんで?」 「好きな人がいる人の顔してる」 ややこしいな····· そう苦く思うが、ほのかの言う通りだった。 だが好きな人が新しく出来た、というよりは前好きだった人を改めて好きになった、と言う方が正しい。 「いいなあ、ほのかも欲しい」 サラダにグサッとフォークを突き刺しながらほのかはボヤく。 ゆるカールした肩までの栗色の髪。 くりくりした大きな目。 流行りの可愛らしい服。 おまけにとてもいい匂いがする。 それら全てが天城ほのかを学部随一のモテ女にしていた。 「彼氏いるでしょ?」 「別れた」 「はあ!?」 ほのかはとてもモテる。だが気分屋でその分恋人の入れ替わりが激しい。 「今度は大丈夫とか言ってたじゃない。どれぐらい?3ヶ月?」 「んーん、2ヶ月と26日。あとちょっとだったのになあ」 「細かい·····てか何にこだわってるのよ」 とツッコミながらも佳澄は自分も人のことを言えないなと思った。 千晶との事があって忘れていたが、自分もつい先週そうたと別れたのだ。 千晶と再会した日から明日で1週間。 あの日から佳澄は千晶のことばかり考えていた。 「だからさあ」 ほのかがぐいっと佳澄の方に身を寄せる。
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